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サウンド・シティ様 tutumuでPMCのスピーカーを導入

サウンド・シティ様 tutumuでPMCのスピーカーを導入

株式会社サウンド・シティ tutumu
Dolby Atmosと360 Reality Audioの両方に対応した
老舗スタジオの新しいフラッグシップ・ルーム


株式会社サウンド・シティ様(東京都港区)は、1961年創業の日本を代表する総合スタジオです。創業時からレコーディングとポスト・プロダクションの2本柱で事業を行ってきた同社は、60年以上にわたって様々なコンテンツ制作に関わり、約10年前からはライブ収録業務も開始。都心に様々なタイプ/規模のスタジオを複数擁し、クライアントからの多様なニーズに応えられる体制を整えています。そんな同社は2022年8月、東京・麻布台にDolby Atmosと360Reality Audioの両方に対応したイマーシブ・スタジオ、『tutumu』を開設。同社の取締役である明地権氏は、他に先駆けてイマーシブ・スタジオを開設した経緯について、次のように語ります。

株式会社サウンド・シティ 代表取締役社長 明地権 氏

「私が役員になったのは2021年の6月のことなんですが、そこで“『サウンド・シティって一体何の会社なんだろう?”と自問し、ここで一度再定義した方がいいのではないかと考えたんです。我々はやはり技術を提供する会社であり、良いコンテンツを作ろうとしている方々の役に立つ会社であるべきだろうと。その考えに基づいて会社をリブランディングし、その一環として、興味を持っていたイマーシブ・オーディオにも本格的に取り組んでいこうということになったんです。
 イマーシブ・オーディオにはずっと注目していたのですが、昔の5.1chや7.1chのようにオーディオ・マニア向けの規格とは違うという認識を持っていました。Appleやソニーが推進していますが、近い将来、スタジオで作った音響をイヤフォンでも再現できる時代がやって来るだろうと。音だけでなく映像に関しても同じで、車なのかメタバースなのかはわかりませんが、いずれは立体の中での作品づくりが当たり前の時代になると思っているんです。特にお客様からの問い合わせが増えたから造ったというわけではなく、我々自身がイマーシブ・オーディオに可能性を感じたから開設したという感じですね。Dolby Atmosと360 Reality Audioの両方のフォーマットに対応させたのは、近い将来、イマーシブ・オーディオは当たり前のものになると思っていますが、どちらのフォーマットがスタンダードになるか判断がつかなかったからです。ビジネス的にも両方のフォーマットに対応させた方がいいだろうと思ったのですが、中途半端なスタジオになってしまうのではないかと、周りからはけっこう反対されましたね(笑)」(明地氏)

MAルーム『S STUDIO』を全面改装して開設された『tutumu』の音響設計は、日本音響エンジニアリングが担当。中澤氏は、イマーシブ・スタジオであると同時に、サウンド面でも妥協のないスタジオを目指したと語ります。

「これまでは正直、スタジオを造る際はコストを重視していたところがあるんです。単価が上がらない音楽の原盤制作で、長くビジネスを続けていくためには、経済的な合理性がないと成り立ちませんから。でも今回はコストを考えずに、サウンド・シティの新しいフラッグシップとなるスタジオを造ろうと。スタジオとして一番大切な音響を重視するなら、日本音響エンジニアリングさんにお願いするしかないだろうと思ったんです。これは技術スタッフ全員共通の意見でしたね」(明地氏)

そして『tutumu』のモニター・システムとして導入していただいたのが、PMCシリーズです。サウンド・シティ様の常務取締役である中澤智氏によれば、各社のスピーカーを集めた試聴会が実施され、技術スタッフ総意のもとPMCシリーズが選定されたとのことです。

株式会社サウンド・シティ 常務取締役 中澤智氏

「モニタースピーカーに関しては、自分たちの耳で確認して一番良いものを導入しようと思い、日本音響エンジニアリングさんの試聴室で各メーカーの製品を8機種くらい試聴させてもらったんです。PMCに関しては、ちょうどモデル・チェンジのタイミングだったので、当初は試聴するスピーカーのリストからは外れていたんですよ。でも新シリーズのデモ機が急遽届くということになり、ギリギリ間に合って聴かせてもらったのですが、これが本当に凄いサウンドで……。満場一致でPMCでいこうということになりました」(中澤氏)

サウンド・シティ様のチーフ・エンジニアである秦正憲氏はPMCシリーズを試聴して、そのスピード感に驚いたと語ります。

株式会社サウンド・シティ チーフ・エンジニア 秦正憲 氏

「もの凄く音楽的なサウンドだなと感じたのと同時に、音の立ち上がりの良さというか、スピード感が凄いなと思いました。低域のレスポンスも良く、ウーファーが動いた後の余韻で、音が濁らず泥つかない。エンジニア的視点とリスナー的視点のどちらで聴いても、これは完璧なスピーカーだなと。もうこれしかないという感じでした」(秦氏)

「最初に音を鳴らした瞬間に、皆の表情が明るくなりましたね。“これこれ”という感じで。解像度が高く、音量を出してもリミッティング感が無かったですし、とにかくバランスが良かった。イマーシブ・スタジオに導入するのであれば、こういうナチュラルなキャラクターのものがいいのではないかと。それと、ビジネス的にも最新のスピーカーを入れた方がいいだろうという判断もありました。ちなみに弊社でPMCのモニタースピーカーを導入するのは今回が初になります」(明地氏)

『tutumu』の大きな特徴と言えるのが、Dolby Atmosと360 Reality Audioという2つのフォーマットに対応している点です。音響設計を担当した日本音響エンジニアリング株式会社の佐竹康氏は、スピーカーの設置位置について次のように語ります。

「『S STUDIO』は、元々天井高さがありましたので、イマーシブ・スタジオを計画するには良い空間だったのですが、Dolby Atmosと360 Reality Audioの2つのフォーマットに対応させるというのは、我々としてもチャレンジでした。両フォーマットとも水平面上のスピーカー配置はITU-Rが基本ですが、ハイト・スピーカーはDolby Atmosが等立体角に4本配置するのに対して、360 Reality AudioはITU-Rの開き角を保ったまま上方に5本を設置しますので、どのような配置がベストか社内でも議論になりました。幸い天井高さがあったので、仰角45°でもほぼ球面に近い距離にスピーカー配置ができそうだったので、等立体角4本配置のDolby Atmos配置を基本にして、ハイト・センターを追加しました。一方ボトムの3本はITU-R配置のLCRと同じ開き角で設置しています。また、リア・サラウンド・スピーカーの設置場所に関しては、ミキサー、ディレクター、クライアントの3列席への動線確保との両立を考慮しながら、正式にご発注いただいた後も細かく調整しました」(佐竹氏)

Dolby Atmosと360 Reality Audioの両方をサポートした上で、音質面でも妥協のない制作環境を実現したサウンド・シティ様の新しいフラッグシップ・スタジオ、『tutumu』。明地氏は、そのハイ・レベルな仕上がりに大変満足していると語ります。

「イメージどおりというか、イメージ以上のスタジオに仕上がったのではないかと大変満足しています。オープン直前に内覧会を実施したのですが、制作者向けの回とエンジニア向けの回、どちらも非常に好評でした。クリエイターの創作意欲を喚起する、エンジニアの琴線に触れるようなスタジオになったのではないかなと。秦を中心にエンジニアも揃っていますので、皆さんにぜひ使っていただきたいですね。このスタジオを起点に、日本でもイマーシブ・オーディオを普及させていきたいと考えています」(明地氏)



株式会社サウンド・シティ
SouncCity 麻布台 tutumu

プロダクトマネジメント、システム設計・施工:オンズ株式会社
音響設計・施工 : 日本音響エンジニアリング株式会社

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