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カプコン様 bitMASTERstudioでPMCシリーズを導入

カプコン様 bitMASTERstudioでPMCシリーズを導入

世界的なゲーム・メーカーがPMCシリーズで実現したワールドクラスのイマーシブ・スタジオ

株式会社カプコン様(大阪市中央区)は、『モンスターハンター』シリーズや『バイオハザード』シリーズといったヒット・タイトルで知られる世界的なゲーム・メーカーです。同社は、本社近くの研究開発ビルの中に『bitMASTERstudio』と名付けられた本格的なサウンド・スタジオを擁し、音響/楽曲制作の多くをインハウスで行なっていますが、2022年、さらなる高みを目指してスタジオの大規模改修を実施。イマーシブ・オーディオ対応のスタジオを2部屋から3部屋体制とし、次世代ゲーム・オーディオを紡ぎ出すためのファシリティとして刷新しました。その経緯について、同社のシニア・サウンド・エンジニア/ミキサーの瀧本和也氏は、次のように語ります。

株式会社カプコン シニア・サウンド・エンジニア/ミキサー 瀧本 和也 氏

「メイン・スタジオの『Dubbing Stage』で使用していたスピーカーの調子が悪くなっていたこと、スタジオ・メンバー3人に対して2部屋で運用していたスタジオを3部屋に増やす必要があったこと、そして何よりカプコンのゲーム・タイトルの多くがイマーシブ・オーディオ対応で制作され始めたことで、十分なスペックのスタジオが複数必要となったこと、これらがきっかけとなってリニューアルの話が持ち上がりました。でも一番のきっかけは、2018年に『Dynamic Mixing Stage : GOLD』という部屋をリニューアルしたことかもしれません。『bitMASTERstudio』を開設した当時のカプコンは、ようやくサラウンド作品を制作し始めた頃で、今ほどスタジオに対する音質的な欲求やバジェットが高いとは言えなかったんです。とりあえず防音と吸音をしっかりして、周りの迷惑にならなければいいかなという程度で……(笑)。しかしその後、実際に運用していく中で、徐々に音の鳴りについて改善する必要を感じ、機械的な補正やスピーカー設置位置の修正など、できることはいろいろやってきたのですが、『Dynamic Mixing Stage : GOLD』をソナさんに設計・施工していただいて、ルーム・アコースティックをしっかりさせると、ここまで素晴らしい音になるということをあらためて実感したんです。具体的には、ルーム・アコースティックを安定させると、ファンタム定位が凄まじく良くなるんですよね。3Dで表現されるゲーム・オーディオは、言ってみればすべての音源がオブジェクトなので、それらの座標位置を元に、全方位で音が再生される。たとえダイアログであっても、すごく中途半端な場所に定位する可能性があるので、モニター・システム全体の位相が安定していないと、今感じた違和感は部屋のせいなのか、それとも自分の処理が良くなかったのか、判断できなくなってしまうんです。その点、リニューアル後の『Dynamic Mixing Stage : GOLD』は、すべての音像がきれいに定位するので、音の質感やバランスだけを考えて、ミックスに集中することができる。これはゲーム・オーディオを制作する上で本当に重要なことで、それで昨年、『Dubbing Stage』を改修し、『Dynamic Mixing Stage : SILVER』と命名した新しい部屋を増設することにしたんです」(瀧本氏)

ソナ様の設計によって改修された新生『Dubbing Stage』は、従来の遮音層はそのまま活かしつつ、内部を全面リニューアル。天井には特製の音響調整用パネルが取り付けられ、後方には本数や位置にこだわった調整用スリットが配置されるなど、緻密な音響チューニングが施されています。また、ゲーム・メーカーのインハウス・スタジオとは思えない内装も『Dubbing Stage』の大きな特徴で、ナイト・クラブを彷彿とさせる独特の雰囲気を持った空間に仕上げられています。

「工事中に『Dubbing Stage』の音をチェックしたときは、上下2層の平面状のお盆に載ったような分離した音像だったんですが、ソナさん特製のパネルを設置していただいた後は、上下のエレベーションがきれいに繋がって、一気に立体的な音になりました。後方に配置した調整用のスリットは、本数や細かな位置調整までこだわったことで、フロントのファンタム定位やステレオ・イメージが素晴らしく良くなり、本当に驚きましたね。こういった調整作業は、とても貴重な体験でした。内装に関しては、“大人の社交場”をテーマに、ソナさんにデザインしていただきました(笑)。最も頭を悩ませたのが、コンソール奥の三日月型のパネルで、これはスピーカーの足元を隠す目的で設置したものなんですが、部屋に入った瞬間に“何ですか、これ?”と言われるくらいインパクトのあるものが欲しくて、デザインにこだわったんです。あるときふと“下弦の月”というアイディアが浮かんで、三日月の下側からスピーカーをライト・アップしたらカッコいいなと(笑)。このデザインに音響的な意味があるわけではないんですが、プロデューサーやサウンド以外の人たちも出入りしますし、こういうクールなデザインのオブジェクトがあると気分がアガるじゃないですか。スタジオの雰囲気というのは、クリエイティブな作業をする上で、とても重要だと思うんですよね」(瀧本氏)

コンソール奥の三日月型のパネル

そして『Dubbing Stage』の新しい常設スピーカーとして導入していただいたのが、PMCシリーズとIB2S XBD-A IIです。PMCシリーズで7.1.4chのシステムが組まれ、両サイドにステレオ用としてIB2S XBD-A IIが設置されています。

「PMCは前々から気になっていたスピーカーだったのですが、2019年の『Inter BEE』でQB1-Aをじっくり試聴する機会があり、自分好みの音だなということをあらためて認識したんです。“このグーパンチのような音、たまらんな”と(笑)。初期の段階では、フロントLCRにIB2S-AII、サラウンドにtwotwoシリーズ、ハイトにwaferシリーズという組み合わせを検討していたんですが、リニューアルに向けて動き始めたタイミングでtwotwoシリーズが生産完了になってしまったので、後継モデルのPMCシリーズをソナさんの試聴室で聴かせていただいたんです。2ウェイのtwotwoシリーズを検討していたこともあって、試聴する前の段階では、同じ2ウェイのPMC6を第一候補としていたのですが、3ウェイのPMC6-2を聴かせてもらって、完全にノック・アウトされてしまいました。自分がリファレンスとしている音源を何枚か持参したんですけど、その中のピアノで始まる曲をかけた途端、最初の1音で“うわっ、これだよ、これ!”と度肝を抜かれてしまって。もう聴いた瞬間に、“これにします”という感じでしたね(笑)。もちろんPMC6はとても良い音だったんですけど、自分が求めていた音はPMC6-2だったという感じでしょうか。PMC6-2のスコーカーがとても好きな中域の音色で、加えてステレオ再生用に検討していたIB2S-AIIとの音の親和性という意味でもPMC6-2の方が勝っていた。試聴後、ソナの中原さん(中原雅考氏)からも、“きっと瀧本さんは、PMC6-2の方が好みだろうと思いましたよ”と言われましたね(笑)」(瀧本氏)

ハイト・スピーカーのPMC6-2は、スチールと防振ゴムを組み合わせた特注のブラケットを使って天井に取り付けられ、後方/水平面のPMC6-2は特注のスピーカー・スタンドに設置。サブ・ウーファーは4台のPMC8 SUBに加えて、IB2S XBD-A IIのLFE入力も併用されています。

「フロント・スピーカーの設置角に関しては、ぼくはLRのスピーカーが離れ過ぎているのが好きではないので、PMC6-2のLRは45°、音楽用途中心のステレオ・スピーカーであるIB2S XBD-AIIは60°としました。スペースに余裕がなく、普通の設置ではPMC6-2の開き角度が45°を下回る可能性があったので、特性に問題無いことを確認の上、PMC6-2のLRを敢えて左右逆に設置しています。本来はツイーターが内側なんですが、左右逆に設置することで、中心点を外側に持っていっているんですよ。後方のPMC6-2は、スピーカーに寄っ掛かる不届き者がいるので、1ミリも動かないようにスタンドに固定していただきました。このスタンドは、きっとビルが倒壊するまで動かないのではないかと思います(笑)。頭を悩ませたのがサブ・ウーファーで、最初は8インチのユニットが2基入ったPMC8-2 SUBを2台導入しようと思ったのですが、できるだけフロント・スピーカーと同じ高さで鳴らしたかったので、8インチのユニットが1基入ったPMC8を4台という構成に変更して2本ずつ縦に積むことにしたんです。しかし実際に鳴らしてみると4発だけでは低域が物足らず、IB2S XBD-A IIのLFE入力も使用することにして、PMC8 SUBが4発、XBDが4発の合計8発のサブという構成にしました。IB2S XBD-AIIの低音は本当に素晴らしくて、併用してみたら低域が一気に安定しましたね。PMC8 SUBだけで鳴らしているときは、アクセルをベタ踏みしているような余裕のなさを感じたんですけど、IB2S XBD-AIIのサブ・ウーファーを併用することで、とても力強い低音になりました。さらにベース・マネージメントを上手く行うことで、低域の繋がりも凄く良くなりましたね」(瀧本氏)

スタジオ完成後、『バイオハザード RE:4』や『STREET FIGHTER 6』といったビッグ・タイトルのミックスで使用されたという新生『Dubbing Stage』。瀧本氏は、「見栄えを含め、イメージしていた以上のスタジオになった」と語ります。

「ハイト・スピーカーもフロント/サラウンドと同じ3ウェイで揃えたことで、上方向を含む立体空間を綺麗に定位できるようになり、実際に作業してその仕上がりにはとても満足しています。PMCシリーズと同じくらい気に入っているのがステレオ専用のメイン・スピーカーとして導入したIB2S-AIIで、最初に試聴したときからそのサウンドには惚れ込んでいたのですが、本当に良いスピーカーですね。高域の伸びが素晴らしく、応答速度の速い低音も恐ろしく気持ちいいんです。ここで音を聴いた人は、皆口を揃えて”凄い!”と言ってくれますよ。以前AES Los Angelesのスタジオ・ツアーで、Sony Computer Entertainment『Santa Monica Studio』を見学したんですけど、ああいう環境でゲーム・オーディオを作っているというのがとても羨ましかった。でも今回の改修で生まれ変わったこのスタジオは、ちょっと自慢できるレベルになったのではないかなと思っています」(瀧本氏)

株式会社カプコン
Capcom Soundteam Official Web 

音響設計・施工 : 株式会社ソナ
システムプランニング・納入 : 株式会社メディア・インテグレーション ROCK ON PRO

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