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イタリアの公共放送局RAIがローマの放送センターをLawo VSMとV__matrixへ更新し、最大の柔軟性とパフォーマンスを実現
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イタリアの公共放送局RAI – Radiotelevisione Italianaは、この度、ローマの放送制作センターをLawo社のIPインフラストラクチャー・ソリューションをベースにした新しい制御と信号配信ネットワークへ更新しました。放送局内のさまざまな制作領域に対して、RAIは分散された制作環境で保証されたパフォーマンスを実現するためにV__matrixソリューションを選定しました。5つの制作プロダクションと6つのスタジオに設置されたV__matrix clusterとVSMシステムで構成され、スタジオと全体的なシステム制御、および信号分配管理が行われています。
Lawoのパートナーであり、またシステム・インテグレーターでもあるミラノの ARET video and audio engineeringは、RAIのビジョンである分散ルーティングとプロセッシングリソースを実現するため、LawoのIPインフラストラクチャーを取り入れて制作施設全体を改善することにしました。このインストレーションによって、テレビ番組制作のワークフローがより柔軟かつ効率的になるだけでなく、高い冗長性も実現されます。 All IPインフラストラクチャーのおかげで制作チームは、プレゼンターやゲストを迎えて番組を開催するステージに隣接して、 V__matrixユニットを配置することができるのです。
人気司会者の故ファブリツィオ・フリッツィ氏に捧げる放送制作センターの技術的な更新は、RAIにとってフルIP環境への第一歩であり、また既存のベースバンド機器からのIP転送も可能にするものです。初期の段階でも、RAIのローマの放送制作センターにおける利点は計り知れません。分散ルーティングにより施設全体にIP信号を配信し、必要な場所でSDIとの変換を行うことによって、設備をより柔軟に利用することができます。放送局は、V__matrixを追加することですべてのソースとデスティネーションが相互作用する新しい制作エリアを簡単に追加できるので、インフラ全体への統合が迅速に行えるのです。
「RAI更新プロジェクト向けの公開入札では、我々はインストールのコンセプトと品質について詳しく説明しました」
と、RAIのコントロールルームとテレビスタジオの技術責任者であるエンリコ・ ブリツィアレッリ氏。
「スタジオのコントロールルームの近代化とともに、スタジオ、コントロールルーム、サーバールーム間の接続をすべてIPベースとし、12G対応の新しい集中管理室を作ることを目指しました。またこのプロジェクトにはいくつかの新しいポストプロダクションオーディオスイート、4つのLive Dolby ProTools設備、LEDビデオウォール用の5つのグラフィックエリア、そしてAR(拡張現実)があります。提案された内容をあらゆる角度から精査した結果、ARETが提案したIPベースの設備が最も適していると判断したのです」
「RAIが設計したテクニカルアーキテクチャは、IPと12G-SDI技術の利点を巧みに組み合わせており、その結果は間違いなくパワフルで柔軟性があり、将来性があること間違いありません」
ARETの営業担当兼副社長であるアレキサンドロ・アスティ氏は語ります。
「もちろん、IPプロジェクトについて話し合うときには全員が知識を身に付けるために学ぶ必要がありますし、チーム全体が新しい能力を活用する必要があります」
アスティ氏は続けます。
「私たちはRAIとLawoの両方からハイレベルのスペシャリストと議論する機会に恵まれたので、光栄でした。困難なプロジェクトでは、いつもの事ですが、良い結果を生み出すのはチームなのですよね」
5つの制作エリアには、Lawo V__matrix distributed clusterが設置されています。LawoのIPベースのソフトウェアディファインド・ビデオプロセッシングとマルチビューワ・プラットフォームは合計137個の C100プロセッシングブレードを備え、あらゆるギャラリー(*)スタジオの組み合わせに、巨大なルーティングとプロセッシング能力を提供します。各スタジオには、それぞれ2枚のブレードが実装された、2つの複製されたV__matrixフレームが設置されており、最大40の入出力信号の処理を行うことができます。このセットアップは10×10のリアプレートで入出力同数に構成され、すべてのブレードで10 SDI入力と10 SDI出力が可能です。また同セットアップは、全体の信号分配のためのIPルーターとして使用される追加のV__matrixクラスタによって構成されています。3枚のC100ブレードは中継車との接続用に利用され、ネットワーク化されたメディアインフラへのリモートアクセスを提供。このIPメディアインフラは、V__matrixフレームとプロセッシングブレードを施設内の任意の場所に追加することで簡単に拡張でき、新しいギャラリーを統合することも可能なのです。
(*)ギャラリーとは、従来のスタジオスブコントロールルームのことを指します。
さらに、このプロジェクトには3つのスタジオ照明制御室と翻訳ブースやナレーションキャビンなどのエリアも含まれています。RAIはまた、中継車用の駐車場を設け、トラックがV__matrixの専用フレームに接続することで施設のインフラに接続し、施設全体に信号を分配できるようにしました。
柔軟でユーザーフレンドリーな制御と信号管理用に、Lawo VSM (Virtual Studio Manager) ブロードキャストコントロールシステムが個々のギャラリーやスタジオのデバイスを管理し、全施設の統合的な制御を提供します。これによってRAIのエンジニアは、コントロール・ルームのコンフィグレーションを簡単に組み替えることが可能となります。また、施設全体に配置された135枚のC100ブレードは、vm_avpバーチャルモジュールベースのシグナルゲートウェイとして機能します。コントロールルームのエンジニアは 2枚の追加されたC100ブレードによって、24時間体制で信号をマルチビューア画面で監視することができるのです。
Lawoが直接設定及び保守を行う、いわゆるIPオーケストレーターは、すべてのクラスタの上にインストールされています。2つのVSMサーバーと4つのガジェットサーバーで構成された大きなクラスタです。IPオーケストレーターは、すべてのスタジオとステージクラスターを結合し、すべてのギャラリーのクラスタを介して施設全体の信号間、および施設間の信号の相互作用を可能にします。 任意のステージからの信号は、任意のギャラリーの任意のクラスタにルーティングすることができます。例えば、ある日、RAIがギャラリー1とスタジオ3(プレゼンターとセット)の組み合わせで番組を制作し、翌日にはスタジオ3とギャラリー2の組み合わせで番組制作するといったことが可能です。
「2021年1月に設置工事を開始し、8月には最初の3つのコントロールルームを完成させました。第2フェーズでは、2021年11月に最後の2つのコントロールルームの工事をスタートして、翌年8月にすべての設置が完了しました」
RAIのビデオシステムエンジニアリング部長ガブリエル・ヴァッカロ氏は語ります。
「大きな課題の1つは、IPインフラを導入しながら並行して、生放送の番組を制作を行うことでした。ですが私たちRAIチームは RETとLawoのサポートによって、何とかそれをやり遂げることができたのです」
プロジェクトの第1フェーズが進行している間、Lawoはトレーニングセッションを提供して、RAIのエンジニアにIPベースのシステムの設定と使用方法、および個々の制御室とIP インフラストラクチャ全体の中であらゆる設定の再割り当てと再設計する方法をレクチャーしました。技術エンジニアと制作チームの両方が新しいワークフローに慣れる必要がありました。
「チームはあらゆるレベルで懸命に取り組み、一歩一歩成果を上げてきました。彼らの情熱と素晴らしい結果を生み出した、すべてのヒントに感謝してします」
とアスティ氏。
「2600万ユーロを投じた今回の設備は、15年以上にわたる最も重要なプロジェクトでり、Full IP化という我々のビジョンを具体化するものです」
と、ブリツィアレッリ氏は締めくくりました。
「IP の世界への第一歩として既存のベースバンド機器を統合することで、Lawo のIPインフラの可能性に期待し、これにより一歩一歩前進することができる自由を得ることができました」
2023.2.8
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