前回の振り返り
- 監視は単なる異常検知にとどまらず、番組やサービスの状態と連動した「サービス意識のある監視」へと進化
- プロアクティブな監視により、問題の予兆検知や影響範囲の可視化が可能
- SDN/BCコントローラーとも連携し、信号フローとUIの整合性を維持
前回は、監視の進化と全体的な運用整合性の重要性について見てきました。
この最終回では、シリーズ全体を通じて登場した機能群をひとつの統合プラットフォームとして提供できる「DataMiner」に焦点を当てて見ていきます。
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DataMinerは、SkylineCommunicationsが開発するサービスオーケストレーションプラットフォームであり、以下のすべてのステップにまたがって活用可能です:
- オンボーディング(検出と登録)
- プラン(予約とテンプレート割当)
- 制御(初期設定と実行時操作)
- 監視(状態の可視化とアラート)
さらに、DataMinerはブロードキャストコントローラーやSDNコントローラーの役割を兼ねることも可能です。


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SDNコントローラーとしてのDataMiner
スケジュールされた自動切り替え
- 事前に定義されたタイミングで信号接続を実行
- 任意のトポロジー(スパインリーフ、マルチサイト等)に対応

DataMiner MediaOps – Scheduling
アドホック切替時の制御タイミング比較
- ノンブロッキングなIGMPネットワークで即時接続
- 外部パネルやソフトUIからの操作に即応

DataMinerによるSDN構成(SDN構成全体と、ノンブロッキングIGMPルーティング下での制御構造)
- ネットワークの帯域やフローパスもDataMinerが直接制御
- ブロッキング環境では接続に数秒の遅延が生じる場合もある
- Cisco IPFMやArista MCSとの統合も可能

決定論的かつフレーム精度の高いスイッチング
- プレイアウトなど、時間精度が重要な場面では外部SDNコントローラーと連携
- フレーム単位での遅延をコントロールする必要があるケースに対応
ブロードキャストコントローラーとしてのDataMiner
- ラベル、UMD、信号グループ、タリーなどの制御に対応
- 複数のSDIルーターやSDNスイッチを仮想マトリクスとして統合管理
- RiedelやDensitronなどの外部ハードウェア制御パネルとの接続も可能

DataMiner MediaOps – Workflow Designer
リアルタイム制御とプロファイル活用
- HTML5ベースのUIやVisioビューを通じて直感的な制御が可能
- 制御プロファイルにより、マルチベンダー機器でも共通インターフェースで操作できる
例:
ゲートウェイのビットレート制御
- 映像遅延やオーディオレベルの微調整
DataMinerは従来の枠を超え、上位レイヤーとして包括的な役割を担う
DataMinerは、単に制御を実行するだけでなく、運用・設備・人的リソースを含む全体の構成管理レイヤーとして機能します。
また、単体でオーケストレーション+制御をすべて担えますが、既存のSDN/ブロードキャストコントローラーと連携する構成も柔軟に対応可能です。
柔軟な構成対応:
- 単体でのフル統合
- SDN/BCコントローラーとの連携型
非技術リソースも管理可能:
- オペレーターのシフト
- 中継車やスタジオのスケジューリング
- プロジェクト単位での人・設備・サービスの統合

このようにDataMinerは、単なる制御ツールやネットワークコントローラーの枠を超え、放送運用全体を横断的に統合・調整できるプラットフォームとして活用できます。
今回のまとめ
- DataMinerは、放送オーケストレーションの4ステップすべてを統合的に管理できる
- SDN/BCの両方の機能を内包し、フル構成・連携構成どちらにも対応可能
- 制御・監視だけでなく、人や設備など運用要素も一括管理できる
- プロファイルによるベンダー抽象化、UI制御による現場連携もスムーズに行える
- 単なるツールではなく、「上位サービスレイヤー」としての中心的役割を果たす
結論
DataMinerは、単なる制御ツールではなく、IPベースの放送環境全体を俯瞰して管理するための中核プラットフォームです。その柔軟性とスケーラビリティは、規模・要件の異なる放送局にとって、最適な形で導入できる大きな強みとなるでしょう。
次回(番外編・第7回)は、DataMiner導入時によくある実務的な質問や相談内容について、FAQ形式で解説します。
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