一口に「ブロードキャストコントローラー」と言っても、いくつかの主要な機能に分類することができます。ベースバンド信号のルーティング、タリーシステム、多様なパラメータ制御、そして状態表示、アラーム監視など、多岐に渡ります。そして昨今は、IPメディアストリームとネットワークスイッチの制御が加わりました。
LawoのVSMはこれらすべてを網羅した、デラックス版「ブロードキャストコントローラー」になります(笑)。
SMPTEのST2110スイートに代表される、IPメディアストリームは、放送機器ではおもに、マルチキャストを採用して、ネットワークスイッチのちからを借りて、映像音声信号の分配や切替えを行ないます。また同期については非常に精度の高いPTPが支配していますが、PTPについてココではそっとしておきましょう(笑)。
マルチキャストの切替え方法の主流であるIGMPは、SDPという定義ファイルを交換して信号の受け渡しを行う仕組みです。これをユーザ目線で見ると、目的はクロスポイント制御をすることなのですが、データの読み書きを行なって、結果として映像音声信号を切り替えるという、実はパラメータ制御をしているとも言えます。
内容が書いてあるSDPファイルを、準備しています。そのSDPファイルをVSMはカメラから取得して、受信するデバイスに渡します。そうすると、受信デバイスはメディアスイッチに対して「あのカメラのストリームが欲しいんだけど何とかして」と声をかけるのです。これがIGMPのJOINと言われています。
そこまで行けばVSMのしごとは終わりかと思われるかもしれませんが、VSMはとても面倒見が良いので、受信できたかを見守ります。そしてちゃんと信号が受けられれば、ユーザーに報告します。ベースバンドのときから、VSMはとてもまじめにその結果を報告するクセがありました(笑)。 IPストリームの場合は、ネットワークスイッチなど登場人物が増えますので、管理するのはさらに大変になります。ただ、そうしないと本当に信号が受け取りデバイスに到達しているのかが分からないので、とても重要なのです。
VSMでは、メディアストリームの送受を行なう「場」を「ネットワークレイヤー(空間)」と表現し、ベースバンドのXYのクロスポイントマトリックスのようにユーザに提供しますので、視覚的にイメージしやすくなっています。
前回の『 vol.1 ブロードキャストコントローラーとは?』では、VSMはプロトコルのライブラリが重要であることをお話しました。ここでの目的はSDPを取得して渡すことですので、その機能を果たせれば、プロトコルは何でも構わないのです。機器によってEmber+プロトコル、専用プロトコルなどを使用しますが、最近増えてきたNMOSの場合もあります。そこはマルチリンガルなVSMが強みを発揮します。「英語でAさんから聞いて、中国語でBさんに伝える」ようなもので、Ember+でSDPを獲得し、NMOSで渡すなど変幻自在(笑)。
そのようにしてブロードキャストコントローラーは、共通のコントロールパネルやGUIからのユーザの制御指示により、個々のレイヤにおけるルーティングを確実にこなして、ユーザにフィードバックします。またその複合ワザがタイライン(多段ルーティング)制御であり、信号ルーティングの真髄なのです(笑)。 次回vol.3では、その辺りを掘り下げていきましょう!
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