読んで楽しい!放送技術の話 「vol.1 ブロードキャストコントローラーとは?」

「ブロードキャストコントローラー」という言葉、最近耳にされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。LAWOのVSM(Virtual Studio Manager)は、ブロードキャストコントローラーのはしりとして10年以上前にリリースされ、現在では、世界中で2,000を超えるシステムが稼働しています。ブロードキャストコントローラーは当初、「メーカーを意識せずに様々な機器を一括して制御したい」というヨーロッパの中継車などの要求に応えて、ドイツの制御専門メーカーLSBが開発。LSBはその後LAWOに吸収され、現在のVSMのかたちとなりました。

VSMは、ルーティングスイッチャーのクロスポイントの制御から始まり、信号の流れに着目してタリーシステムを構築したり、またいろいろな機器のパラメーターを制御することも得意です。映像のFS(フレームシンクロナイザ)、カラーコレクタ、マイクゲイン、オーディオレベル、VTRスタートなどなど…。1台のハードウェアコントロールパネルから、またはデスク上のGUIから、はたまたタブレットからでも、何でも動かせますので、一度体験するとやめられない便利さがあります!スペースや人的リソースの有効活用、操作性の一元化、時間の節約などにも役立ちますから、良いこと尽くしですね。

でもそもそも、なぜそんなことが可能なの?素朴に疑問を感じる方も多いことでしょう。ブロードキャストコントローラーの制御の極意は、どこにあるのでしょうか?

なぜVSMはメーカーを超えて、様々な機器をコントロールすることが可能なのでしょうか?種明かしをすれば…そこに魔法はありません(笑)。ひたすら地道に、各機器メーカーとプロトコルの交換を行なってきた結果なのです。海外では、ユーザおよび機器の開発の利便性を優先して、オープンな汎用のプロトコルが古くから多く利用されている背景も重要なポイントでしょう。それらに次々に対応した結果、VSMには、他の追随を許さないプロトコルのライブラリが完成しました。それは今も、少しずつ拡大しているのです。

それらのプロトコルを解釈し、微調整を行い、共通のユーザーインタフェースに落とし込む。それがVSMの得意とするところなのです。例えば、機器によってその反応速度や振る舞いに違いがあっても、VSMは吸収できる柔軟性を持っています。

代表的なプロトコルのひとつに、LAWOが開発に関わったオープンなEmber+(エンバープラス)プロトコルがあります。非常に汎用性が高く、簡単に実装ができるのがEmber+の特徴。代表的な制御であるクロスポイント、パラメータ、およびリアルタイム表示(ピークメータなど)の機能を備えていますので、Ember+だけで、すべての制御と状態表示などを網羅できるのです。

すでにおわかりのように、ブロードキャストコントローラを影で支えるのは、様々なプロトコルなのです。そして、それらを優れたユーザインタフェースで皆様に提供することができるのがVSM。また最近は、ST2110などのIPメディアストリームや、ネットワークスイッチの制御も可能になり、ますますその重要性が増してきています。次の機会には、IPメディア関連の制御についてもお話したいですね。

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