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SiA – IP REMOTE PRODUCTION OF BELGIUM’S FIRST- AND SECOND DIVISION FOOTBALL

カテゴリー:
BROADCASTLAWO
SiA – IP REMOTE PRODUCTION OF BELGIUM’S FIRST- AND SECOND DIVISION FOOTBALL

SiA社について

ベルギーの大手通信プロバイダーProximusグループの一員であるSiA(Skynet iMotion Activities)は、視聴覚コンテンツの制作/購入/活用を担当する企業体としてProximus TVというニックネームのもと、2005年に設立されました。

Proximus TVは新旧の映画やドキュメンタリー、コンサート、スポーツクリップ/トレーラー、そしてTV番組を含む広範なVOD(video-on-demand)プログラムを擁しています。

ベルギーの首都ブリュッセル地区のエヴェレにあるSiA社はProximus TVのVODカタログのTV番組&メディア制作を行っています。その業務は映像エンコーディングや編集、マスタリング、字幕付け、そして毎年何千プログラムというメディア作品の品質管理に及びます。

さらに、SiAは年に700を超える生番組をフランス語とオランダ語の2ヶ国語で制作しています。

同社の最も人気の高いチャンネル「Proximus 11」は、ベルギーのJupiler Proリーグ(ファースト・ディビジョン)の8つの試合とProximusリーグ(セカンド・ディビジョン)の毎週4つの試合を、やはり2ヶ国語で制作して生放送しています。実際の試合以外に、スタジオ番組が2つのスタジオによって制作されます。Proximus 11以外に、フットボール・チャンネル「Proximus 11+」がチャンピオンズ・リーグの試合を放送します。

背景にあるものとは

Proximusは現在「ベルギー・ファースト・ディビジョンB」(公式にはProximusリーグとして知られています)の権利を保持しています。その試合は「セカンド・ディビジョン」であり、そのシーズンは8つのチームが2つの別々のスタジアムで互いに2回試合をするの形で成り立っています。

SiA社は2つの異なる制作ニーズに対処する必要があったために、生放送では2つのアプローチを採用しました。SiAはセカンド・ディビジョンの制作過程全体をコントロールしますが、SiAは他のプロダクションと共同でノンリニア方式でファースト・ディビジョンにもIPを使うことを決定しました。

IPシステムに移行するための最も重要な検討事項は予算を抑える事、そして制作コストをあらゆる分野で節約するためにIPリモート制作のメリットを活用することでした。

SiAの技術メディア運用エクゼクティブ・マネージャーのロドリゴ・シュターンバーグ氏は次のように言っています:「私たちの番組制作はこの3年でほぼ倍になりましたが、予算は同じままです」

ベルギー国内で2つのサッカーの試合をカバーするのに
オペレーターは何人必要ですか?
─── 半分強といったところです。

このケーススタディはSiA社がリモートIP制作を行い、同じ予算であってもより多くのコンテンツを作れるようになった2つのアプローチを披露します。

このプロジェクトに含まれるLAWO機材:

IPコア・インフラ

  • V__matrixフレーム
  • V__matrix用 C100プロセシング・ブレード×20式
  • V__matrix内のC100用にアドオンされた様々なバーチャル・モジュール(VM)
  • V__remote4 オールインワン・リモートプロダクションインターフェイス
  • V__link4 オールインワンVideo-over-IPステージボックス

IPステージボックス

  • A__mic8 Audio-to-IP インターフェイス
  • V__remote4 オールインワン・リモートプロダクションインターフェイス

マルチビューワー

  • vm_mv24-4 バーチャル・マルチビューワー・モジュール搭載のV__matrixフレーム

制御

  • VSM IPブロードキャストコントロールシステム(リダンダント対応)

音声

  • mc²56 IPプロダクションコンソール×2式
  • Nova73HD 音声ルーター&DSPユニット×2式

ひらめきの瞬間

IPリモート制作にチャレンジするというSiAの決断は2016年6月、フランスでのUEFA欧州選手権に提供されたLAWOのIPテクノロジーの成功の後に決定されました。

このプロジェクトの新しい試みは、パリのIBC(International Broadcast Center)が、12カ所の全スタジアムからの信号を ──衛星アップリンクではなくIPを介して── 監視して受けることができ、ベニューにある機材を数百マイル離れたところにいながら、あらゆるパラメーターを制御できたことでした。

カメラとアンビエント・マイクロフォンからやって来る全信号はLAWO V__remote4ユニットとA__mic8ユニットに供給され、この2つのユニットは、音声ストリームと映像ストリームをプライベートな光ファイバー回線(90Gbit/s×2)を用い、メインとバックアップの2つの個別IP 経路を介してIBCへ伝送するネットワーク・スイッチに接続されました。

IBCは、12カ所のスタジアムすべてを含み、また任意の信号を任意のデスティネーションへ、つまりIBCとの間で双方向にルーティングできるような、大規模ななネットワークを作り上げました。

Proximusはベルギーの第2サッカー・リーグの権利を獲得したばかりで、UEFA(欧州サッカー連盟)によってフランスのセットアップを訪問するように招かれていました。テストを見学した後──そして欧州選手権の開催試合の前なのにも関わらず──Proximusチームは似たようなシステムをベルギーにも備えることを決断しました。

2016年6月12日、一通の電子メールがinfo@lawo.comに送られました。2日後、LAWO社のディルク・シコーラはエヴェレにおいてこのプロジェクトの詳細についてすぐに打ち合わせし、テストの計画を立てていました:SiAは8月5日の次シーズンの開始には稼動していることを希望しました。

すでにSiA社はフル装備の音声コントロールルーム2つと映像コントロールルーム2つ(オランダ語用とフランス語用)を持っていましたが、それらは存分には利用されておらず、大きなOBトラックと40人を超えるエンジニアリングチームを運用することは制作コストを急騰させている事を理解していました。またSiAは保有する既存のA/V機材を活用することの可能性も見込んでいました。それはつまりSDI信号とIP信号の両方を受け容れるソリューションを探していたということです。

Proximusリーグの場合、Proximusはカレンダー設定から参加していて、セカンドディビジョンの試合スケジュールに関与する権利があります。可能な限り、スケジュールはクルー1人が2試合を続けて制作できるように作られます。こうすることでSiAは運営クルーを節減できます。

このイベントをカバーするのには、基本セットアップを備えたバン1台、コメンテーターたち(オランダ語とフランス語)カメラ6台とそのオペレーターたち、現場の設営技術者2人で充分でした。

LAWOの最初のミッションは「IP 回線のいずれかの端に必要なボックスを提供する」でした。というのも、当初はこのクライアントは自分たちの既存機材を活用することだけを望んでいたからです。

Proximusリーグ──Making IP Ends Meet

SiA社で利用可能なインフラを用い、そしてスタジオ外で協力してくれる放送サービス・プロバイダーNEPとVideohouse両社のカメラ・クルーと技術者との作業を続けて行くという決断が下され、LAWOにはスタジアム内のカメラとマイクロフォンをエヴェレにあるコントロールルームにIPでつなぐにはどういう方法がベストなのか質問がありました。

セカンド・ディビジョンのProximusリーグについては、SiAは共有されたIP回線への単一の1Gbps接続をリダンダント回線なしで使うことを決定しました。

LAWO社は、同じ日に2回あるそれぞれの試合について、以下の機材を収容したフライトケースを装備して、このフライトケースを積んだバンがセットアップ技術者2人と共にスタジアムに赴くというプランを提案しました:

  • LAWO V__remote4×2式(カメラ6台用)
  • LAWO A__mic8×3式(フィールド・マイクロフォン、コメンタリーおよびインターカム接続用)
  • Switch Hub×1

スタジアム

音声セットアップ担当はアンビエンス・マイクロフォンを設置し、アナログのコメンタリー・ステーション2つ(1つはフランス語用,もう1つはオランダ語用)を設定し、インターカム回線を準備します。全音声信号は標準的なXLRケーブルを介してA__mic8ユニットに送られます。3台のA__mic8で24本までのマイクロフォン信号の入力ができます。

A__mic8ユニットは入力されるアナログ音声をエヴェレとの間でされるAoIP音声ストリームに変換します。

カメラ・オペレーターたちはサッカーのフィールドに6台のカメラを設置して、それらを2台のLAWO V__remote4ユニットに以下のようにつなぎます:

  • 第1のV__remote4:カメラ1,2,3,4
  • 第2のV__remote4:カメラ5,6ならびに1,2

V__remote4ユニットの1台に障害が発生しても4つのカメラ信号が確実に利用できるようにこのシステムは選ばれました。カメラをCCUに接続する(SDI)には標準的なTRIAXケーブルが使われています。

V__remote4およびA__mic8ユニットは自らのストリームを1台のスイッチに送り、それはProximusネットワークに接続されて、そのIPデータをエヴェレに送ります。

V__remote4はJ2KおよびVC-2信号圧縮を提供し(このオプション以外はV__link4とまったく同じです)それはカメラ信号(フルHD)の100Mbps J2Kストリーム6本を作るのに使われます。この圧縮はスタジアムと通信する2台のV__remote4ユニットを使ってエヴェレにてデコードされます。このようにして1Gbps回線1本を使ってデータトラック全体を取り扱うことが可能になっています(非圧縮映像は通常,カメラ毎に1.5Gbpsを必要とします)このアプローチの画質への影響を問われたロドリゴ・シュターンバーグ氏は、圧縮は視聴者の目には見えないので家庭の視聴者たちは同じ画質を楽しんでいる、と答えています。同時に、スタジアムにあるフライトケースも、エヴェレの制作チームからモニター信号とインターカム信号を受けます。さらに全機材(カメラ・シェーディングや音声設定等)はエヴェレからリモート・コントロールされます。

エヴェレにある制作センター

エヴェレに届いた映像ストリームはスタジアム毎に2台のV__remote4ユニットによってデコードされ、必要な場合はSDIに変換され、映像コントロールルーム(ビデオミキサー、マルチビューワー、スクリーン、LSMスローモーションマシン等)に送られます。

音声ストリームはMADIに変換されて音声卓に送られます。これらの全信号は個別に利用でき、エンジニアやオペレーターが適切と思う方法で処理することが可能です。

エヴェレのコントロール・ルームも信号をスタジアムに送り返します:メイン・プログラム、音声ミックス、インターカム・フィードバック、制御信号、同期目的で使われるストリームです。エヴェレにいるオペレーターたちはベニューの機材のあらゆる重要パラメーターの状態を監視できます:

  • 電源の状態:各LAWOユニットはメイン電源とリダンダント電源を装備します。両方が監視されます
  • ユニットの温度:LAWO機材がオーバーヒートした場合にアラームが発せられます
  • 接続状態:エヴェレの制作クルーはどの機材が利用できないかが分かりますので、セットアップ技術者たちに問題を解決するよう依頼できます

すべてを1つに

技術クルーは試合の4時間前にスタジアムに到着します。最初の仕事が小型バン内のフライトケースとエヴェレのコントロール・ルーム間のIPネットワーク接続です。これによって、エヴェレのエンジニアはその他の全機材の接続状態をフォローし、制作に関わるあらゆる面を制御できます。

バン内のセットアップ技術者たちには機材から出力されるモニタ画面が2つありますが彼らは設定を行いません。これはエヴェレから遠隔的に行われます。またバン車内のインターカム・パネルを使って、彼らはカメラ・クルーやエヴェレのコントロール・ルームとコミュニケーションができます。

上述のように、全インターカム信号もネットワークを通ります。

SiA/Proximusはバンの1台が交通渋滞に捕まって動けなくなったり、別の理由でスタジアムに到着できない場合のために、まったく同じV__remote4/A__mic8/スイッチのコンフィギュレーションを持った第3のスペアのフライトケースを所有しています。ベルギーのような狭い国土ではスペアのラックを配送することも選択肢として有効です。

VSM(Virtual Studio Manager):IP放送制御システム

基本セットアップは設置されましたが、LAWOは自社VSM IPブロードキャストコントロールシステムを機材の中核に加えることを提案しました:このソリューションがなければ、スタジアム間の切り替えは優に2時間を要する手動作業となり、ヒューマンエラーが発生する可能性も大きくなります。そのような時間とリスクは受け容れがたいものでした:Proximusは最初の試合の終了した直ぐ後に次の試合を始めることを望んでいたのです。

すべてのLAWO機材は内蔵するウェブ・サービスを介してコントロール可能です。VSMは利用可能な全パラメーターを引き継ぎ、機材を再構成し、必要な全信号を適切なデスティネーションにルーティングさせます。VSMのおかげで切り替えはボタン1つをクリックする(または押す)だけのことなり、それは1秒で終了します。

VSMはモジュラー式のGUI駆動のソフトウェア・ソリューションであり、各クライアントに合わせて構成・カスタマイズされます。SiAのグラフィカルなVSM GUIインターフェイスは、2つのコントロールルームと現場のフライトケースをメーカーを問わずに全機材の接続状態を表示する事が可能です。

SiAは他のスタジアムの選択が[Take]ボタンを使って確認されるようなシステムを要求しました。このボタンを押せば、そのスタジアムからエヴェレ内の映像および音声ミキサーや他のあらゆる制作関連信号や機材へのストリームが正しくセットアップされます。VSMはすべてのオペレーターたちが自分のワークフローにしたがって作業できるようにタッチスクリーンやマウス操作やハードウェア・パネルを使用してあらゆる制御をサポートしています。

VSMがあれば、任意の小型IP接続バン/フライトケースを任意のコントロール・ルームに接続できます。さらにこれはタリー信号を制御し、インターカムを関連するコントロールルームからカメラ・オペレーターたちにつなぎ、音声信号を正しいミキシング・コンソールにルーティングし、そして映像信号をマルチビューワーに、カメラをビデオミキサー等上の要求されたボタンに割り当てます。何百もの操作がほんの一瞬の間で実行されます。

Jupilerリーグ──One For All

SiAは自社の既存インフラをProximusリーグに活かすことができましたが、Jupiter Proリーグ(ファースト・ディビジョン)の放送の新たな制作要求事項に応えるべく、同社はまったく新しいコントロール・ルームとLAWOのIP技術を採用することを決めました。

Jupilerリーグが現場での番組制作に重きを置くことを選びましたので、ProximusリーグのIPセットアップとアプローチをコピー&ペーストすることは不可能と分かりました。

また、他の2つの遠距離通信パートナー会社がSiA社から受け取った国際フッテージに基づいて自社番組を作ることを望みました。したがってベルギー・サッカー協会は現場の本格的な制作チームと共に作業し、IP伝送アプローチの採用を決めていました。そのため、40人強のクルーがいる大型OB車両がホスト放送局として機能して、フッテージとアンビエント音声トラックを制作します。通常の制作フィード2本をエヴェレにあるMCRに送り、そこでJupilerリーグの番組用に必要なグラフィクスが付け加えられます。SiAはこれらの信号をそのままTelenetとVOO[どちらもベルギーの通信会社]に送ります。

これはエヴェレにいるSiA社制作クルーはJupiler Proリーグの試合には不要ということを意味するのでしょうか? 否です:私たちが今日知っているサッカーの生中継放送には単に試合自体以上の多くのことが含まれています。放送はインタビューやコメントや解説・分析を付け加えることでより面白くなります。SiAの場合は2つの言語で作業することや、グラフィクスやスローモーションやその他のエフェクトを追加することです。この追加コンテンツはフランス語で「habillage」と呼ばれています[ドレスアップといった意味]

実装

システムがどのようにして実装されているかを示す前に、Jupiler Proリーグ用に開発されたプランを簡単に見てみましょう:

ベルギー国内の16カ所のファーストディビジョンのスタジアムすべてはProximusのバックボーンへのプライベートな10Gbps光ファイバー・リンクを備えています。OBトラックはSDIフォーマットでの自身の「国際/ホスト」信号(4つのバージョン)をスタジアムに駐車している小型バンに送ります。

このバンはプライベートな光ファイバー回線に接続されており、国際信号ストリームをエヴェレに送り、そこでは同ストリームは「生の(raw)」状態でTelenetとVOOに送られます。

現場のNEPまたはVideohouseチームはスタジアムに数台のFOP(field-of-play)カメラを追加し、SiA自身の制作のために2基のコメンタリー・ステーションとインタビュー等のためのインフラを追加します。これらはV__remote4ユニットとA__mic8ユニットに個別に接続された後にSiAのバンに伝送されます。このバンはV__remote4ユニット1台とネットワーク・スイッチ1台を搭載していて、後者にはスタジオから来る光ファイバー・ケーブルが接続されます。

ベルギーのファーストディビジョンのスタジアムにはV__remote4ユニットとA__mic8ユニットを収めたフライトケースが装備されています:FOPフライトケース1基にはSiAのカメラとA__mic8、インターカム、そしてインイヤー・モニター、および現場のコメンテーターたち用のコメンタリーステーションとロボットカメラ近くのフライトケース1基が接続されています(より活き活きとした躍動感ある番組にするために現場のコメンテーターたちと仕事するのがSiAのポリシーです)

SiA自身の映像信号は100Mbit/s(J2K)に再度圧縮されます──これはProximusリーグの場合と同じです。LAWOのV__remote4は当然のことながら各入力の圧縮を個別に稼動させることができます。 すべての信号はマルチキャスト・ストリームとして分配されます。

同期

Proximusリーグに使われる共有回線と違って、10Gbit/s光ファイバー回線はネットワーク全体にわたってPTP(Precision Time Protocol)信号を完璧に分配できます。

よってJupiler Proリーグの場合は、同期はPTPクロッキングを介して取り扱われます。これは次のようにして行われています:クロック信号はエヴェレ内のシンクパルス・ジェネレーターによってブラックバースト・ビデオ・クロックとして生成され、その信号は2台のV__link4(1台はメイン、もう1台はバックアップ)によってPTPに変換され、Arista製スイッチによってネットワーク上の全デバイスに送られ、このPTP信号をスタジアムのV__remote4が現場のカメラ用にブラックバーストに変換します。

ディルク・シコーラ曰く「私はV__remote4をスイス・アーミー・ナイフと呼びたいですね:これはエンコーディング/デコーディング、エンベディング/ディエンベディング、圧縮、クロック分配、そして同期やブラックバーストとの間のPTP変換といった多用途に使われていますから」

一方、エヴェレでは…

エヴェレでは、映像コントロールルーム3および4がフッテージを受けます。この2部屋はIP制御されておりネットワーク全体の一部となっています。さらにLAWO mc256ミキシング・コンソールを備えた音声コントロールルームが2つありますが、それらもネットワークの一部となっています。

Arista 7280ネットワークスイッチ(72ポート,各40Gbit)がスタジアムからの全ストリームを受け、それらをソフトウェアで定義されるプロセシングモジュールC100 x 20台を装備したV__matrixユニットに送ります。

C100モジュールはフロント・パネル上にIPネットワーク・コネクター(コネクター毎に40Gbit)を2個を備えていますが、ベルギーの国営放送局やその他の企業と同様に、既存の回線を介して信号を受けるTelenetとVOOのために、背面にはSDI出力パネルを備えます。

SiAは全映像信号が利用できる映像コントロールルーム3および4内で番組を作ります。映像はすべてV__matrix内のC100プロセッシングモジュールによって作られます:モジュールの数台はIPストリームをSDIに変換するのに使われ、他のものはマルチビューを作るのに使われているので追加機材の必要性がなくなり、その一方で、また別のモジュールがエンベディング/ディエンベディングと映像同期を扱います。V__matrixのシステムに組み込むことのできるモジュールの上限は使用されているスイッチが提供するポートの数によってのみ制限されます。

C100モジュールの8台にはvm_mv24-4バーチャル・マルチビューワー・モジュールが読み込まれ、それぞれが4つのマルチビューワーヘッドを作り(わずか3RUで全部で32のヘッドが作られます)残りのモジュールはスローモーションやビデオミキサー等にSDI信号を送ります。各C100モジュールは10個のSDI入力ならびにそれと同数の出力を扱うことができます。

このセットアップ全体(スタジアムとエヴェレの制作施設)は例えば音声卓からの全機能のリモート・コントロールを提供するWANといえます。

音声にはRavenna/AES67プロトコルが使われますが、プリアンプ制御等のための制御信号はEmber+を介して取り扱われます。カメラ・シェーディングも遠隔的に行うことができます。

VSM

ここでも、VSMは、カスタマイズされたGUIのおかげで信号ストリームを希望する任意のデスティネーションへ即座に転送する事ができ、このシステムにおける重要な役割を演じています。

1つのVSM画面がどのバンと機材が接続されているかを示し、VSMは現場の各V__remote4内の全パラメーターにアクセスできます。

VSMのパネルはエヴェレのSiAのほとんどのステーションで利用できます。他のオペレーターたちはLAWOがプログラムしてカスタマイズ済みのGUIを使います。

生中継を開始する

すべて接続が適切かどうかスタジアムをIPチーフのディーター・バックス氏がチェックします。今日の試合のヘント対シャルルロワ戦は「Model A」の試合で、コメンテーターたちのために言語毎に追加カメラ1台があります。「Model B」の試合では生のインタビューと分析用にフィールド上の2台の追加カメラが必要になります。

光信号のレベルがすべてチェックされてから、IP接続は試合の約5時間前に確立されます──全信号がエヴェレに確実に到達するようにするには「オプティカル・コネクターは完全に汚れのない状態になくてはならない」ということは基本です。IP接続確立の少し後に、OBトラックがオンラインになり、次いでその他の全機材が加わります。試合の約3時間半前にProリーグによって、すべてのものが適切であるかどうかを確認する公式のテストが行われます。

システム全体が稼動すると、クルー・メンバーたちが到着し、今夜の試合をサッカー・ファンならば絶対に見逃したくないようなイベントにするために自分たちがなすべきことを行います…

信頼性

「今のところ埃が私たちの一番の難問です。信号がAからBに届くことができなければ、できることは何もありません──インターカムを使って通信することすら不可能です」とディーター・バックス氏は語ります。このチームはアクティブな監視ならびにLAWO社のディルク・シコーラが準備した書面のトラブルシューティングを用いてそのような問題に対処します。

私たちは放映権と番組制作に大金を支払っていますし、
何一つとして失敗を許すことができません。
だから私たちはLAWOを選んだのです” 
 ─── ロドリゴ・シュターンバーグ,技術メディア運営エクゼクティブ・マネージャー 

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