- 公開日:
- 更新日:
PLAZA MEDIA – IP FOR DYNAMIC RESOURCE POOLONG
Plazamedia GmbHはミュンヘン地区に本拠を置きConstantin Medien AGの関連会社として、あらゆるメディア・プラットフォーム向けの番組制作プロバイダーであり、ドイツ語使用圏内のスポーツTV制作をリードしています。
同社のクライアントには公共および民間放送局やプラットフォーム運用事業者、国際的スポーツ連盟、スポーツ権利エージェンシーがあります。
Plazamediaは最新鋭の多目的スタジオを持ち最高のスポーツ・イベント制作サービスを提供し、リモート制作やリパーパシング(再利用)アーカイビング、そして様々なメディア・プラットフォームに向けてのコンテンツ配信サービスのような先進的な制作技術を提供しています。
Amazon MusicUnlimitedを新たなクライアントとしたPlazamediaは、Amazonのスポーツ・ラジオ番組のために2017/2018シーズン以来、グローバルな規模で活動しています。またその他の大手顧客にはSport1やDAZNがいます。
“私たちの新放送センターは柔軟性と拡張性が最大限得られるように
設計されています。このため私たちは、急を要する、
また多数の同時進行プロジェクトに対して
IP制作フローの技術とパワーを活用できます”
─── ジェンス・フリードリヒス,Plazamedia社長
PLAZAMEDIAのプロジェクトには以下のLAWO製品が含まれます:
IPコア・インフラ
- V__matrixフレーム×7式
- C100プロセシング・ブレード×45式(上記V__matrixユニットに振り分け)
- ストリーミングおよびマルチビューワー用途向けの様々なV__matrixバーチャル・モジュール(VM)を実装
制御
- VSM IPブロードキャストコントロールシステム(リダンダント対応)
- VSM用コントロール・キーパネル(ハードウェアおよびソフトウェア)
- VSM用サーバー×2
音声
- Nova73HD音声ルーター&DSPユニット×1式
- LCU IPコメンタリー・ユニット×8式
- ruby音声ミキシング・コンソール×6式
- VisToolバーチャルGUIアプリケーション×8式
Plazamediaのビジョン
それはチャレンジングなビジョンを持って始まりました:ドイツのイスマニングにあるPlazamediaの新しい施設では,結局,制作ルームやギャラリーの設備はそこにあるハードウェアによって制限されるべきではなく、またMCRは柔軟なリソース・マネージャーとして機能する必要がある、というものです。
新しいIPシステムに進出しようとしたことに対して大きく変わるシステムに躊躇する場面もありましたが、IPテクノロジーが持つ潜在能力に敢えて挑戦しPlazamediaはスマートに且つ柔軟性を保持したまま成長しました。
システムの決定までに何度も業務フローの考察と実績調査を行い、2018年8月Plazamediaとそのクライアントたちは、IPを介して全機材がボタンの1つで、手元の仕事に対してセットアップ可能な1つのファシリティーとして機能するとてもユニークなフルIP放送施設の運用を開始しました。
PlazamediaのIP割り当てフローは制作ステップに基づいています:
- 音声オペレーターのために、必要とされる音声のみが小型のコンソールにルーティングされます
- 映像ミキサーのオペレーターのために、映像信号がマルチビューワーに集められ、イメージ・サーバーに割り当てられます
- EVSやグラフィクスのオペレーター、編集スタッフ、送出オペレーター等のためにも,似たようなルーティンが設けられています
- まだ他のリソースをPlazamediaが送り出す別種類の本線出力(エンベディング・ソリューション有/無)に割り当てできます
- Plazamediaは4つまでのコメンタリー・ブースを同時制作のために同じ音声卓に割り当てることができるようなミキシング環境を作りました
- 別のプリセットでは、外部のOBトラックや外部の信号プロバイダーによる要求に応じるべく送り返しミックスマイナス制御ソリューションを用意します
シニア・プロジェクト・エンジニアのユルゲン・コンラート氏は、現在のPlazamediaは旧システムの2倍のリソース数を扱えるようになったと考えています。
他のことも変わってきました:わずか数ヶ月前まで我々はクライアントにどのスタジオに何の機材が必要かを訊ねて、そこにEVSシステムやイメージ・ストアや音声卓やその他のツールを設置していました。
今では部屋の方がオペレーターに誰であるかを尋ね、何をしたいかを訊きます。
放送制作・送出の自動化を手にしたPlazamediaは、S.A.M.やCiscoサーバー、NetAppストレージ・インフラが提供するソリューションに基づいて、本格的なライブ制作からシンプルなクラウド・ベースのフルIP送出にまで及ぶ広範なサービスを提供できます。NOC(Network Operations Center)も兼ねる放送センターはオンライン制作からリモート制作、クラウド・アーカイブへのワークフロー、そしてメディア資産管理を提供します。
箱の外を考える
Plazamediaは、必要な制御機能をKVM等に割り当てて例えばEVSマシンを任意の空きワークスペースに割り当てできるような極めて柔軟なアプローチを採用しました。
例を挙げますと:
(1)Plazamediaにおいて、Sport1 US社のライブ・フィードのためにMCR内に着席しているオペレーターはCMブレイク中にコメンテーターたちを簡単にミュートできます。これには旧来のセットアップでは時間がかかり過ぎることになるでしょう。しかし,そのSport1 USの放送の音声ミキシング機能へのアクセスをMCRオペレーターが画面上に持つことは実際に大きな前進です:MCRオペレーターは同じ音声モニター信号を聴き、同じマルチビューワー・レイアウトを観て、そしてトレイラーが来たら、CM中にコメンタリー・チャンネルを実質上ミュートするクロスフェードを行うことができます。
(2)ストリーミングに用いられた以前のワークスペースは小型のミキシング・コンソールが1台使われました。現場では日常的に発生するストリーミングコンテンツのリパーパシング(目的変更/再利用)に対しては対応出来ない部分がありました。
したがってPlazamediaは2つの切り替え可能なコンフィギュレーションを持つコンソールをネットワークを使って作業しています。このネットワークは1つの大きな制作または4つの小さなプロジェクト用に使うことができます。IPに向けての移行の途中で、Plazamediaのストリーミングの顧客の1人であるDAZNが4つの生中継の試合にコメンタリーを付けたいと表明しました。旧来のセットアップでも可能ですが、それによってマイクロフォン1本とコメンテーター1人しか必要としない用途に最高5人のオペレーターたちが巻き込まれることになります。Plazamediaの新たなアプローチはボタンの1押しで4つの同時コメンタリーを提供できます。
この機能は4つの試合について予約することができ、LAWOの「LCU」IPコメンタリー・ステーションが信号の制御を行います。オリジナルの信号は外部の回線からMCRが受け、Plazamedia社は待ち時間無くまた複雑な操作不要で、信号を4つまでのチャンネルに届けます。
“私たちの意図は
お客様たちの日々発展する要望に遅れないようにシームレスな
インフラを設計するというものでした”
─── ユルゲン・コンラート,シニア・プロジェクト・マネージャー
実現させるために
Plazamediaの放送システムのIPビジョンは、イスマニングにある同社の施設から約20キロメートル離れたミュンヘン空港で制作される「Doppelpass」ショー ※サッカー関連のトーク番組 のためにリモート制作ソリューションの要望がSport1社が求められたのが始まりでした。それはIPベースのセットアップでなければ実現不可能であり、割り当てられた任務は切迫していましたが、基盤となる技術を用いた技術検討に時間が費やされませんでした。当時利用可能だった機材はIPに基づくものがほぼなく、またあまりに機材が限定されていました。
そのとき、PlazamediaはLAWOのソフトウェアで機能が定義されるC100ビデオプロセッシングモジュールとV__matrixフレームのパワー、柔軟性に気が付きました。LAWOのIPアプローチの背後にある考え方は、IP環境内であってもベースバンドSDI機材を使う可能性がある難問を解決することを約束しました。IPへの移行が完了したらもはや用いられなくなるような機能限定の機材を購入することはユルゲン・コンラートとマルチン・シュペースの両氏がまさに避けたいと願ったことでした。
多くの機材が1つの特定の目的にのみ使用可能、という考えではなく大きく異なる用途に自身のハードウェアを使えるというプラットフォームの方がはるかに効率的です。
ユルゲン・コンラート氏曰く「SDIからIPへの変換や、マルチビューワー機能やその他の将来のタスクのために私たちはLAWOのV__matrix/C100ソリューションを選びました。V__matrixの考え方は、大きく異なる作業に既存ハードウェアを混在して使うための堅実な技術を提供してくれます」
“VSMは同じギャラリーから複数の小規模な制作を進行させることができる最大限の柔軟性をもたらしてくれます。同時に、VSMによって私たちは必要に応じて制作チームを拡大できます”
─── ユルゲン・コンラート
多機能セットアップ向けのVSMプリセット
Plazamediaは、機動性の高い番組制作において様々なワークフローにどの機材と技術が必要か、またIPを介してどのようにして割り当てることができるか、そしてネットワークから動的に作業がピックアップできるか、を分析しました。
この結果、グラフィクスやコメンタリー、小規模制作等の様々なタスクに使える大小の制作ギャラリーの設計につながりました(マルチファンクション・ルームの意味で「MuFu」と呼ばれます)。必要とされるリソースはLAWOの放送制御および監視システムVSM(Virtual Studio Manager)を使って割り当てられます。VSMはIPであろうとベースバンドであろうとファシリティーの全機材を制御します。
PlazamediaのVSMプリセットはオペレーターたちがワークスペースにやってきてVSMパネル上でボタンを押してログインし、彼らが何をする必要があるかを指定できるようにします──そしてこのことは適切な信号ルートと機材割り当てへと変換されます。そのようなプリセットはMCRを含む全部門で利用できます。すべてのリソースは任意の制作ギャラリーに呼び出すことができます。このシステムはより多くの制作スイッチャーやスタジオや将来の成長に充分な可能性(さらには隣のビルディングであっても使用可能)を提供します。
VSM制御システムはその柔軟な構造ゆえに選ばれました:VSMシステムはたとえハードウェアが接続されていなくてもロジカルな制作を準備できるようなロジカル・レイヤー機能があります。
第2のレイヤーつまり操作制御レイヤーは物理的なリソースを割り当てるのに使われ、これによってPlazamediaは任意のギャラリーを様々な制作段階に使うことができるようになっています。例えば、グラフィクスやEVSのオペレーターが制作クルーのあまり近くに居たくない場合は、そのオペレーターは小さな多目的ルームの1つで作業することができます。
IPビデオ
通信事業者からのSDI信号はIPストリームへと変換され、それに続く処理はIPレベルで行われます。施設から送り出される前に、完パケされた信号は変換されてSDIに戻ります。多くの場合、2回の変換だけが行われます:信号経路の始まりに1つと最後に1つです。
途中で行われる他のSDIへの変換は、モニタリング目的、即ちマルチビューワーやシングルヘッドのSDI、そして大概はマルチビューワー・セクション内の12Gソリューションのためだけです。
通信事業者たちはどこも自らの信号配信に専売的ソリューションを用いています:TataとMTEから来る素材はNimbraを介して受け取られ、ベースバンド信号に変換され、それがPlazamediaによって取り込まれます。
映像側については数台のV__matrixフレームとC100ブレードだけではなく複数のブランドが混用されています。ユルゲン・コンラート氏のコメント:「V__matrixの興味深い面は、この製品はマルチビューワーにもストリーミング・ソリューションにもエッジ・デバイスにもなることができ、また間もなくいくつか他の別のものにもなれるようになる、ということです」Plazamediaのオンエア・コントロール・ルーム内の全マルチビューワーは12ヘッドのマルチビューワーです(2×12)
小さいマシン・ルーム内の何台かのC100モジュールはまだ必要とされるかも知れない外部処理に使われます。場合によっては1080/60p信号を受けることがあり、それは変換を要します。
イスマニングには旧式の衛星受信機がいまも稼働しています。というのもPlazamediaは今後もオフエアの録音録画サービスを提供しなければならないだろうと考えているからです。
IPネットワーク
ミュンヘン空港で制作されるTV番組「Doppelpass」での自らの経験に続けて、Plazamediaはストリームのトラフィックを制御トラフィックを分離することを決断しました。
コンテンツを伝送するための帯域幅は制御データ向けのものよりも当然高く、より強力なスイッチを必要とします。Plazamediaのコンテンツ・ネットワークは100Gbps接続を扱える高性能ルーターです。最高12テラビットの帯域幅要求と機材ネットワークを分散化するという目的のために、スパイン&リーフ・ネットワークトポロジーが採用されました。これによってオペレーターたちは機材を適切な場所に配置でき、またリダンダントなシナリオにおいてはより柔軟性を提供し,ケーブル配線も簡単にします。
一方、制御トラフィック(KVM等)は多数のコネクターを必要とし、完全に異なるトポロジー内での方がより効率が良くなります。
Plazamediaの既存バックボーンは制御トラフィックを扱いますが、例えばPTP同期を扱える新しい強力なスイッチやルーターが、コンテンツ・ネットワークのために新たに設置されました。
IPネットワークのスパイン&リーフ・バックボーンは拡張可能が大きく、スタジオとポストプロダクション環境全体の将来的な統合への準備ができています。現在はスタジオだけに接続されているPlazamediaのイベント・エリアは、やはり最終的にはIPネットワークに組み込まれます。
IPオーディオ
IPへ移行するにあたり、モノラル換算の運用がある音声システムはIP/音声ルーターと完全に置き換わることはないと判断しました。そのためRAVENNA / AES67カードを備えたNova 73オーディオ・ルーターならびにIPインフラと接続されたrubyシステムへのリダンダント接続を選択しました。
rubyコンソールはコントローラーとして機能し、Power Coreエンジンが音声処理を行います。Power CoreエンジンはNova 73に接続されこれがrubyの唯一の物理接続です。各rubyコンソールとその対応するPower Coreユニット間のCANバスはIPネットワークを介して分配されますので、ユーザーたちは適切なコンソールに合わせて異なるハードウェアを自由に混用して組み合わせることができます。
rubyコンソールは柔軟かつ強力であり、カスタマイズ可能なユーザー・インターフェイスを持っています。ファシリティー内でのあらゆる用途について、Plazamediaは直感的なユーザー・インターフェイスを提供できます。同社はスポーツ放送の国際音声の仕事をするのが主で、それぞれ2人のナレーターがいて8つの音声チャンネルを扱えるコンソールがコメンタリー・ブースを最高4つまで使えますので、完璧に国際放送の要件を満たしています。
LAWOのLCU IPコメンタリー・システムは8つの異なるロケーション内で利用可能であり、効率の良いオフチューブのスポーツ制作が行えるように事前に構成されていて、また任意のrubyコンソールに自由にルーティング可能です。LCU IPコメンタリー・ステーションは単一のネットワーク接続を介して機能するため、コメンテーターたちが操作を忘れた場合には、例えば「ON-AIRボタンのON / OFF」をするような機能のフル制御とアクセスをサポートします。またこれらの機能はVSMを介して制御も可能です。
任意のコメンタリー・ブースを多機能ギャラリーのどこにでも接続可能です。ブースの物理的な位置は制作にとってはどうでも良いことです。Plazamediaには、複数の制作プロジェクトと制作ギャラリーに分かれた16人までの同時コメンテーターたちを収容できる余地があります。
例えば4カ所のスタジアムからの信号がPlazamediaに届くとすると、オペレーターはそれらを画面上で見て、VSMから4台のLCUコメンタリー・ステーションを予約し、コメンテーターたちにどこに座るかを指示します。コメンテーターからの信号はrubyコンソールに伝送され、MCRオペレーターは4つまでのミックスを同時に作ることができます。
ミキシングされた信号がエンベデッドされた後、ストリーミング・エンジンに送られ、例えばSport1の視聴者たちが観ることができるようになります。VisTool GUIソフトウェアはこの用途のために特別にプログラムされており、ジングル等をポン出し可能なバーチャル・オーディオ・プレーヤーしての機能も提供します。
次の作業
eスポーツのような新しいサービスは別のフォーマットで提供することも可能な新しいコンテンツをカバーすることを必要とします──例えばより多くのソーシャル・メディア活動に参加することです。Plazamedia社の主要な顧客の1つであるSport1はソーシャル・メディア上での露出度が高くなっています。
Plazamediaの最終的な目的は、すべてのもの(制御やコンテンツ,そして1つエンドポイントから別のエンドポイントへ移動する必要のあるあらゆる種類の情報)を双方向ストリーム接続上で扱えるようなワンストップ・ショップ施設になることです。
ポストプロダクションやスタジオのようなIPインフラがまだカバーしていない別のセグメントは全体的なインフラにすぐに接続されるでしょう。さらに、ユルゲン・コンラート氏は、スタジオ環境内のマルチビューワーは基幹システムの一部となる必要がある、何故ならその方がはるかに効率が高いから、と主張します。