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LAWOとd&b,イタリアのRavenna Festivalでイマーシブ・オーディオ制作を促進
イタリアの都市ラベンナでは6月と7月に毎年恒例のRavenna Festivalが行われていますが、今回、その音声制作と配信に大きな進展がありました。サウンド・システムの中核にあるのがd&b audiotechnik社のSoundscapeイマーシブ・ライブ・オーディオ技術、そして同じドイツのメーカーであるLAWO社のミキシング・システムです。
クラシックやコンテンポラリーやジャズの制作作業に特化しているイタリアのレンタル会社「BH Audio」は、過去3年間、3月のISEイベントでのSoundscapeの公式リリースに先立つ厳格なテスト運用にd&bとLAWOを組み合わせたプラットフォームを使ってきました。
Ravenna Festivalシステムのセットアップを担当したのはBH Audio社のMassimo Carli氏で、同氏はFOHミキシング用にIPオーディオ対応のLAWO mc²36コンソールを選択しました。というのも以前パルマのファルネーゼ劇場で開催された「Verdi Festival」においてこのコンソールのパフォーマンスと素晴らしい音質を体験していたからです。
「3週間のリハーサルの後、プロデューサーたちはマルチトラック録音を行うことを希望しました──これは簡単でした。コンソールに実装されているRAVENNA/AES67ポートを2つのレコーディング・システムに接続して使うだけでした」と同氏。
「その後、歌手たちと合唱団のためにインターカムと楽屋呼び出しを追加するように求められましたが、これは卓のチャンネルと内蔵マトリクスだけを使って行うことができました。それから、ある日ゲネプロの直前に、ミキシング出力を劇場内のすべての部屋に送るよう求められました。これもmc²36のおかげで問題なしにこれらすべての要求に応えることができました。もし倉庫にある他のライブ用コンソールだったら、はるかに複雑で多分多くの追加の機材を必要としたでしょう」
Ravenna Festivalに話を戻してCarli氏は次のように言います:
「RAVENNA/AES67を使ったおかげで、これまでと較べてセットアップがとてもクリーンになりました。私はmc²36から44系統のダイレクト・アウトと20系統のポストフェーダーAUXを、Soundscape DS100プロセッサーにmc²36の3個のRAVENNA/AES67ポートのうちの1つを使って送ることができます。
私はDS100の出力をLAWOステージボックスのAES/EBU出力に直接送り、そこから様々なスピーカーへと送ります。私たちは歌手たちの正しい位置をダイナミックにDS100に伝えるためにネットワークを介するトラッキング・システムも使用しています。
「Soundscapeがどんな種類の仕事にも適するということはないでしょう」とCarli氏は回想します。「しかし時間が経って観客の聴取スタイルが変化すれば乗り越えるのは簡単になると確信しています。個人的な見解ですが、これは究極的にはライブ・サウンドの姿を変えるでしょう。これを一度使ってしまうと元に戻るのはとても難しいです」
Soundscape以外にmc²36をRavenna Festivalに導入したことによって音響セットアップは以前と較べてシンプルになりました。というのも、必要なのはd&bのDS100以外にRAVENNA/AES67を介してCiscoのスイッチに接続されたmc²36コンソールとLAWO Compact I/Oステージボックスだけでしたから。
以前には、AES/EBU A/Dコンバーターとフォーマットコンバーターとオーディオマトリクス、そしてAES/EBU出力をアンプに供給するマルチケーブルとアナログコンソールが必要でした。
「mc²36によって自分用のレイアウトを準備するのに無限の可能性が得られ、音を途切れさせたり「危ない」操作に入り込むことなく、実に素早くかつ簡単にミキシングのレイアウトを変更できます」とCarli氏は説きます。
「私の仕事の大半では最後の瞬間まで──あるいはイベントの最中であっても、チャンネルを追加したりルーティングを変更したりする必要があります。mc²36ならばそれが問題となることはありません。
これらはレンタル会社にとって大きな利点です──沢山のフォーマットで使え、非常に柔軟かつ適応的のある製品を購入するということです。もちろん、私の将来の購入リストにはもう1台のLAWOコンソールがすでに入っていますが、それがいつになるかは正確には分かりません。ただし必要が生じたらすぐに実行するだろうことは確かです」