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ヒューマックスシネマ様 HAC SHIBUYAで PMC 9.2.4chのモニター・システムを導入
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東京・新宿に本社を置く株式会社ヒューマックスシネマ様は、劇場の経営とポストプロダクション、映像関連の2つの事業を手がける企業です。劇場経営のシアター事業部は、池袋、渋谷、横須賀、成田の首都圏4ヶ所に計27のスクリーンを持ち、洋画/邦画を問わず話題作から個性的な作品までバラエティに富んだ作品を上映。ポストプロダクションのHAC事業部は、新宿・富久町のスタジオにMA室4部屋、編集室9部屋を擁し、音楽のライブ・パッケージやCM、企業VPなど、様々なコンテンツを手がけています。そんな株式会社ヒューマックスシネマ様は2021年6月、東京・渋谷に新しい拠点となるスタジオ、『HAC SHIBUYA』を開設しました。同社のマネジャーである稲葉和秀氏とシステムマネジャーの市川有人氏は、新スタジオ開設の経緯とコンセプトについて次のように語ります。
“最先端のテクノロジーにチャレンジできるスタジオ”
「新しいスタジオについては、2年くらい前から計画が持ち上がりました。そしていろいろな物件を見ているうちに、新しいことに取り組んでいきたいという気持ちが強くなっていったのです。映像であれば8K、音であればDolby Atmosといった新しいテクノロジーに積極的に取り組んでいきたい。“最先端のテクノロジーにチャレンジできるスタジオ”というのが、『HAC SHIBUYA』の大きなコンセプトになっています」(稲葉氏)
「私はもともと技術屋なのですが、やはり昨日よりも前に進んでいきたいという想いがあります。新しい技術にチャレンジし、そこでいろいろな知見を得ることで、自信をもって次の仕事に向き合うことができる。8K、Dolby Atmosと新しい技術はどんどん出てきますが、その先にあるエンターテインメントは何なんだろうと。それはもう映像コンテンツではなく、VRやARなのかもしれないですし。ポスプロの枠を超えて、誰も体験したことのないようなエンターテインメントを創造していきたい。時代に取り残されずに、常に最先端のグループにいたいのです。場所を渋谷に決めたのは、新しいことにチャレンジするには最適な街だと思ったからです。世界中から人が集まってきますし、そういう場に身を置くことで、きっと刺激もあるのではないかと。新しいコミュニティも続々とできていますしね」(市川氏)
次のステップとしてDolby Atmosにチャレンジ
「今回新しいスタジオを造るにあたって、これまでどおり2chを大切にしながら、次のステップとしてDolby Atmosにぜひチャレンジしたいと思ったんです。新しい技術に積極的に取り組んでいくことが、私たちポストプロダクションの使命なのではないかと。Dolby Atmos対応のスタジオとしては後発ですが、数年前よりもフォーマットとして普及していますし、OTTやモバイル端末に搭載されるなど、一般家庭にも浸透してきている印象があるので、タイミング的にも良かったのではないかと思います」(嶋田氏)
そして“Audio Suite”のメイン・スピーカーとして導入されたのがPMCのシステムです。フロントLCRはIB1S-AIII、サラウンドとハイトはtwotwo.8、サブ・ウーファーはtwotwo sub2が2台という構成で、9.2.4chのモニター・システムを構築。嶋田氏によれば、スピーカーを選定するにあたって試聴会を複数回実施し、総合的な判断でPMCを選定したとのことです。
PMCは奥行き感が見えるのと、長時間同じ音量で作業しても聴き疲れがしない
「新しい“Audio Suite”は、Dolby Atmos対応の部屋ではあるのですが、ステレオ業務も踏まえ、まずはLRをキチンと鳴らすことが重要と考えました。しかしハイトやリアには、それほど大きなスピーカーを取り付けられるわけではありませんので、いろいろと検討した結果、PMCがいいだろうということになりました。最初、4社のスピーカーを試聴したのですが、なかなか決めきれなかったので、新宿のスタジオに持ち込んであらためて聴き比べを行い、最終的にPMCでいこうと。PMCは、奥行き感が見えるところと、長時間同じ音量で作業しても聴き疲れがしないところが決め手となりました。フロントLCRがIB1S-AIIIで、サラウンドとハイトはtwotwo.8という構成ですが、凄く上手く調整していただいたこともあり、音の繋がりもまったく問題ありません」(嶋田氏)
“Audio Suite”の音響システムの設計・施工を担当したオンズ株式会社の井上聡氏はPMCについて、Dolby Atmosスタジオにマッチしたスピーカーであると語ります。
「フル・レンジで再生できる点などDolby Atmosの要件を満たしていて、Dolby LaboratoriesのスタジオでもPMCが採用されています。あとは単純にスピーカーとしての素性が凄くいい。他にも候補はあったわけですが、今思えばこのスタジオのビジョンに一番合ったスピーカーがPMCだったのではないかと感じています。私も作る側の人間なのですが、音の大切な部分やEQ、ダイナミクスの変化がしっかり分かるスピーカーで信頼できます」(井上氏)
「PMCのスピーカーはかなり気に入っています。ミッド・ローが凄くタイトに出てくれて、音楽もののミックスでも十分な音圧を感じることができる。全ての帯域がフラットに出てくれるので、細やかなミックスが非常にやりやすいです」(村井氏)
PMCのスピーカーは、イマーシブ対応の場合は特に設置の自由度が高い
建築音響の設計・施工を手がけたのは日本音響エンジニアリング株式会社で、ハイト・スピーカーのtwotwo.8は天井に埋め込み型で設置。同社の重冨千佳子氏と佐竹康氏は、PMCのスピーカーの設置の自由度を高く評価しています。
「天井の下にスピーカーを取り付けると、どうしても圧迫感が出てしまうので、今回は天井を掘り下げて、特注の金具を使って鉄骨に直接取り付けました。特注の金具を使って、角度を調整できるようになっています。またサラウンド・スピーカーに関しては、できるだけフロント・スピーカーに距離を近づけるため、少し前のめりになる感じで設置してあります」(重冨氏)
「ハイト・スピーカー以外はソフト・バッフル・マウントで、フロントLCRは木製軸組の上にモルタル台、サラウンドは厚い集成材の台を設置し、インシュレーターを介してマウントしています。サラウンドもインシュレーターを介していますが、比較的重量の軽いスピーカーでは、単に載せただけではしっかり鳴らないこともあるので、今回はIB1S-AIIIとの音質差を減らす目的で、エンクロージャーを台にしっかり固定しました。PMCのスピーカーは、フロントにバスレフがあるので、バスレフが背面や底面に備わっているスピーカーと比べると、イマーシブ対応の場合は特に設置の自由度が高いのがいいですよね。天井に埋め込んだり、ソフト・バッフル・マウントでもまったく問題ないと思いました。音離れも凄く良いスピーカーという印象です」(佐竹氏)
聴きたい音がきちんと聴こえる、音が隠れないというのがいい
6月のオープン以来、既に多くのコンテンツ制作で使用されたという『HAC SHIBUYA』の“Audio Suite”。嶋田氏はその作業のしやすさにとても満足していると語ります。
「とても作業がしやすい部屋に仕上がったと思います。耳馴染みが良く、部屋のどこで音を聴いても違和感がありません。PMCのスピーカーに関しては、もう少しエージングが必要かなと思いますが、どんどん良くなっている印象です。聴きたい音がきちんと聴こえる、音が隠れないというのがいいですね。音が見え過ぎると、やらなければならないことが増えてしまうのですが(笑)、それでも音が見えるというのは重要なことだと思っていて。それによって安心して仕事に取り組めます。音の奥行き感も素晴らしく、この部屋の映像は4K HDRに対応しているのですが、高精細な映像と上手く調和が取れたサウンドだなと感じています。これだけのスタジオができたので、いろいろなコンテンツにチャレンジしていきたいですね。Dolby Atmosだけでなく360 Reality Audioにも興味がありますし、新宿のスタジオではVRのコンテンツを何本か手がけて、イマーシブ・オーディオの可能性を感じています」(嶋田氏)
HAC SHIBUYA
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-17-11 ガーデンキューブ渋谷神南5F
https://hacstudio.com/studio-shibuya/
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