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第4回 放送用コントローラーとオーケストレーター:制御

前回の振り返り

  • オーケストレーションの「プラン」ステップでは、テンプレートとリソースプールを用いて最適な予約を実施
  • リソースはオンプレ/仮想/クラウドを横断し、性能・ロケーション・ネットワーク要件に基づき選定
  • ネットワークのトポロジーや帯域も評価され、リソース間の整合性が確保される

前回は「リソース予約と構成テンプレート」によって、イベントや番組に必要なリソースを事前に確保する方法について見てきました。このブログでは、次のステップである「制御」=予約済みリソースの設定・運用管理について見ていきましょう。

制御とは何か?

予約だけでは不十分であり、それらのリソースを実際に操作・接続・構成していく必要があります。制御ステップでは、番組のライフサイクル全体にわたって、リソースに適切な設定を施すことが求められます。

主な制御対象

  • 番組前の初期設定(例:信号接続、マルチビューア設定)
  • 番組中のリアルタイム制御(例:UI操作、信号切替)
  • 番組終了後のリセット(例:設定解除、解放)

自動制御とプリロール

イベント開始に先立って、オーケストレーターは以下のような初期化操作を自動で行います。

  • デバイス設定の適用(例:ビデオサーバーにプレイリストをロード)
  • スタジオ構成の変更(例:HDからUHDへの切替)
  • 接続パスの確立(例:CCUとRCPの接続)

このような準備段階を「プリロール(事前状態)」と呼びます。

番組中のリアルタイム制御

番組中は、人による操作が必要となる場面も多く、ソフトウェアUIやハードウェアパネルによって手動制御が行われます。

主な操作方法

  • ソフトUI(Webダッシュボード、タイムラインビュー)
  • ハードパネル(ロータリーノブ、レバー付きボタン)

制御例

  • 信号の切替、ルーティング
  • 音声・映像パラメータの変更
  • タリーやUMD表示の更新

番組終了後の解除・リセット

番組が終了したら、使用済みリソースは計画的に解放され、次の番組に備えた状態に戻されます。

  • 設定の初期化
  • 信号パスの削除
  • 状態の「使用可能」への復帰

ライフサイクルサービスオーケストレーション(LSO)

これらの制御全体は、「開始/終了」だけでなく、番組のライフサイクル全体に沿って管理されます。これをライフサイクルサービスオーケストレーション(LSO)と呼びます。

LSOのフェーズ例

  • プリロール:準備完了前
  • スタート:番組実行
  • ストップ:番組終了
  • リリース:状態解放・次への準備

マルチベンダー制御とプロファイル

ベンダーごとに異なるAPIや機能を抽象化するために、「プロファイル」という制御テンプレートを活用します。

プロファイルとは?

  • 機器に対して必要な制御項目(例:マルチキャストIP、ビットレート)を定義したテンプレート
  • 各ベンダーのコマンドへ自動変換

効果

  • ベンダーロック回避
  • サービス状態に応じた制御の自動切替が可能に

SDN・BCコントローラーとの連携と信号接続

制御の中でも、信号接続(クロスポイント設定)は特に重要です。

  • オーケストレーター → SDNコントローラーへ直接指示
  • オーケストレーター → BCコントローラー → SDNへ中継
  • BCコントローラーが直接SDNへ指示する構成も可能

SDNおよびBCコントローラーとのスムーズな統合を実現するには

全てのコントローラーが1つのシステムで提供されていない場合、オーケストレーターは以下のように役割分担と連携を図る必要があります。

  • オーケストレーター:リソース予約・初期設定・番組ベースの設定配信
  • BCコントローラー:オペレーターによるUI操作、信号ルーティング
  • SDNコントローラー:ネットワーク制御と接続実行

このように連携することで、システム全体の整合性と柔軟性が確保されます。

今回のまとめ

  • 制御ステップでは、予約済みリソースに対する初期設定・接続・制御・解除を実行
  • イベントの開始/終了に加え、「プリロール」など中間状態を含むLSOが重要
  • ソフトウェアUIとハードウェアパネルを活用し、リアルタイム操作を支援
  • 異なるベンダーの制御には「プロファイル」による抽象化が有効
  • SDN/BCコントローラーとの連携設計によって、柔軟で安定した制御が実現される

結論と次回予告

制御は、リソースを「使えるようにする」だけでなく、「使われる過程を管理する」ステップでもあります。

次回(第5回)は、制御と密接に関連する「監視」について取り上げます。
システムの状態をどう把握し、サービス品質を保つのかを見ていきましょう。

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