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福島中央テレビ様 RIEDEL「ARTIST-1024」「BOLERO」を導入
福島県郡山市に本社を置く日本テレビ系列の民放テレビ局、株式会社 福島中央テレビ様は、2022年に制作および室間インカム更新を実施された際に、RIEDEL Communicationsの 「ARTIST-1024」「BOLERO」を導入されました。更新の背景、選定の経緯などついて、同社 コンテンツ戦略局 編成マーケティング部 兼 技術戦略局 放送技術部の加藤 宏幸 様にお話を伺いました。
今回のインカム更新について、背景をお聞かせください
生放送に関わる、制作スタジオ、制作サブ、報道センターの各所で使用する、ワイヤレスインカムが老朽化していました。またそれと同時に、室間インカムシステムも、キーパネルの多くは、運用開始から10年以上が経過していました。円滑な番組制作のために、インカムの安定運用は大変重要であるため、インカムシステム全体の更新を検討することになりました。
更新前は、室間インカムシステムと、報道サブ、制作サブそれぞれが独立したインカムシステムとなっており、システム間を無理やりつなげて運用しているような状態でした。そのため複雑な系統にもなっていて、運用上の制限や、保守管理上も手間が多かったのです。また、運用は常に1:N(全社ALL)しか使われず、連絡線は、常に輻輳してしまっている状態でした。
サブごとに分かれたインカムシステムを持つことは、1つのメリットではありますが、1つの会社に3つのインカムシステムがあることで、うまく管理できていないと感じていました。そのため今回のタイミングで、室間と各サブの有線インカム・各サブのワイヤレスインカムを、局内一括の統合システムとして更新することを検討しました。
実は、室間インカムのマトリクスやパネルは予防保全のため一部更新していて、新しめのものもあったため、社内的には「それらを捨ててすべて更新する」という決断もお願いしました。
ちょうど、報道サブ、制作サブシステムの更新を同じ時期に検討しましたが、各サブのIP化は見送りました。それでも今回の統合インカムシステムは、更新にあたりIP化したいと考えていました。その理由はいくつかありまして、
1つめは、今さら局内に新たにアナログケーブルを引き直したくないこと。
2つめは今後予定する、制作サブの音声卓の更新時に、音声システムをIP化するかもしれないこと。
3つめは、サブシステムのIP化を見送ったことから、当分は社内にIPシステムが導入されず、IPへの理解力が上がらないことによる技術レベルの低下が危惧されること、などでした。
更新にあたってどのように検討を進められたかと、RIEDEL社製品を選定された理由をお聞かせいただけますでしょうか
更新前は、ワイヤレスインカムと室間インカムは、別メーカーでした。そのため、システムを跨いでの音質は良くなく、聞き取りづらいと感じていました。そこで今回の更新では、同一メーカーにすることで、余計な信号変換などをなくし、社内のどのセクションと通話をしても、クリアで聞き取りやすい音質になることを目指しました。
この点において、RIEDEL社のARTIST、BOLERO製品によるシステムは、非常に満足のいくものです。また、ワイヤレスインカムBOLEROの電波の飛びの良さも、選定前に行った実証テストで、十分なものであることがわかっていました。
AoIPベースのインカムシステムとしてメーカーを選定する上で、ワイヤレスを含め、システムや将来の制作音声システムを含むすべてが、AoIPでつながることを目指していました。何よりIPシステムである以上、無駄なIP/アナログ変換による音質の劣化は、極力避けたいという考えがありました。
更新を検討した当時、この考えに沿って各社に提案を依頼したところ、ワイヤレスまでAoIPで統合されているメーカーは2社ありました
最終的には社内テストを行ったときの1.9GHz帯のBoleroの電波の飛びの良さや、各サーフェスの使い勝手を決め手に、RIEDEL社のシステムを採用することになりました。
実際に運用いただいてのご感想をお聞かせください
まずは、統合システムであることの効果について。社内のインカムが一つのシステムになったことで、機器や系統の管理の体制が非常にわかりやすくなりました。弊社では基本的に、今まで室間インカムを管理していたマスター勤務者がシステム全体を管理し、サブの運用者からの
要望に応じて設定を変更する、という運用を行っています。
更新後、すべての端末からワイヤレスのスタジオフロアまで含め、マトリクスによる完全なN:Nの連絡ができるようになりました。
ただ、今まで”ALL”つまり一斉連絡しか無かった弊社の文化で、いきなりみんながN:Nで運用してくのは難しかったため、特定の用途やグループごとにいくつかのパーティラインを整備し、まずはその中で連絡してみようというところから始めました。
番組制作中もリアルタイムで複数の系統での連絡ができるようになり、常に輻輳していたインカム線は、現在ではありません。非常にシンプルになりました。
次は、AoIPシステムにして良かったこと。
まずは、インカムパネルもBoleroのアンテナも、とりあえずスイッチにLANケーブルを挿せば使えるということです。特にBoleroアンテナはPoE+給電が可能なため、電源ケーブルさえ不要で自由にエリアを拡張できることが気に入っています。
もちろん音質の向上もあり、声質だけで誰がしゃべっているか分かるようになったというのは、番組制作上のメリットだと思います(もちろんパネルの表示でもわかりますが)。
今回導入のご支援をいただいたRIEDEL Communications Japan様とオタリテック様には、システム導入時にIPシステムの基礎的なことも含めてご教示いただいたため、非常にスムーズにIPの世界に入っていくことができました。
最後に、RIEDELの製品デザインについて。
これは実際に使用してから気づいたことですが、パネルの”見た目”がシンプルで使用しやすいと思います。インカムシステムにおいて、メニューボタンに入っていって操作するような機能は、ほぼ使ってもらえないと感じていたので、その点ARTISTのサーフェスはよく考えられていると感じました。
今後のご予定、展望をお聞かせいただけますでしょうか
検討段階から、スマホアプリによる、インカム運用に興味がありました。BOLEROのような専用機は安価ではないため、保有できる数は限られます。インカムアプリも開発中とのことで、大いに期待しています。
そのほか、音声IP規格のAES67をベースとした設計であるため、他システムとのIP連携を模索中です。
株式会社 福島中央テレビ
https://www.fct.co.jp/
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