「ブロードキャストコントローラー」の本業の一つが、信号ルーティングです。ベースバンド信号のルーティングスイッチャー(または単純にルーター)やIPメディアストリームの接続操作で、別の言い方では「クロスポイント制御」「交点を打つこと」などとなりますが、ITやIPの世界とは意味が少し違います。まあ平たく言えば映像音声信号の接続経路を設定することですが、多くの場合に「1:多」の分配機能も同時に備えています。
またその接続要件で、パッチ、クリーンスイッチ、ファーストクリーンスイッチ(素早いスイッチング)などに分類されます。パッチは切替ショックがあっても接続できれば良いケース、クリーンスイッチは映像信号の乱れや切替ショックやエラーがない信号切替、そしてファーストクリーンスイッチはさらに早い連続した切替に対応できる必要があります。その典型は、カメラのビューファインダーにおけるリターン映像だったり、VEポジションのカメラ色合わせ、プロダクションスイッチャーの入力位相合わせ、同ポジ合わせなどが上げられるかと思います。
LAWOのブロードキャストコントローラー、VSMでは、機器の入力信号、出力信号のことを「シグナルパス(Signal Path)」と呼びます。ちょっとピンとこないかもしれませんが、システムの中にある機器の出力は次の機器の入力になるからなのです。思わず納得しませんか!?
さて、複数のルーティングスイッチャーにおよぶ信号のルーティングは、システムにおいては避けて通れません。その間を接続するのが従来は物理的トランク線であり、IPではメディアストリームですが、要するに最初の入力信号を自動的に経路を設定して、最終出力に接続するのがタイラインです。タイラインの制御は、古くからある信号ルーティング技術ではありますが、VSMではIPメディアストリームの制御もシームレスに扱えますので、システム全体のなかで欠かせない機能となっています。
VSMはシグナルパス、つまり信号の経路に強い思い入れがあります(笑)。それはライブイベント中継やスタジオ制作において重要な、「タリー」のためでもあるのです。タリーを少し分解してみると…。ひとつはプロダクションスイッチャーの本線出力に選択されているソース、例えば「カメラ1」に赤(レッド)タリーを、ランプ点灯などさせる目的があります。例えばカメラマンがいま自分はオンエア中だなとわかったり、演者さんが今どのカメラが使われているか把握できます。その場合、赤タリーの「起点」はプロダクションスイッチャーですが、VSMではプロダクションスイッチャーと連携して、どの入力が「カメラ1」であり、その前段にあるルーティングスイッチャーをどう通ってきているのかを知っていますので、「カメラ1」に赤タリーを点けることができます。そしてそこまでくれば今度はこの「カメラ1」が、どのモニターやマルチビューワのPiP(分割画面)に出力されているかも当然VSMは知っていますので、単体のモニターやマルチビューワに赤タリーを渡して、赤く表示させることができます。
ほかに緑(グリーン)タリーは、REC中やOA以外にソースを使っている際などに使用することが多いのですが、これはプロダクションスイッチャー起点とは限らず、ルーティングスイッチャーのある出力が、例えば収録デッキの入力の場合など、このルーティングスイッチャーの出力列を緑タリーの起点としてVSMが設定し、該当するソースに緑タリーを返したりすることができます。
VSMはタイライン越しの信号ルーティングと合わせて、「シグナルパス」の把握によって、あまりにも自然に、すべてのややこしいタリー要件をそつなくこなすことができるのです! これで、ご納得いただけたのでは?
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