RAVENNA 解説

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『RAVENNA』は IP[IP=Internet Protocol]ベースのネットワーク環境内での音声等のメディア・コンテンツのリアルタイム配信のためのソリューションです。標準的なネットワーク・プロトコルと技術を利用して,『RAVENNA』は既存のネットワーク・インフラストラクチャーと一体化して動作できます。性能と容量は基盤となるネットワーク・アーキテクチャーの能力と共に拡大されます。『RAVENNA』は低遅延と完全な信号トランスペアレンシーと高い信頼性を備えて,プロオーディオ市場の厳しい要件に応えられるように設計されています。

なぜAudio-over-IPなのか?

データ・ネットワーク界での巨大な製造規模によって機材は確実に大幅なコスト削減されます。さらに,メディア伝送にネットワーク・ベースのソリューションを用いることによって,放送業者は自社の既存インフラストラクチャーを活用し,コンテンツの共有とネットワーク・コンフィギュレーションに関して高い柔軟性を実現できます。IP テクノロジーは,もともとリアルタイム性についての制約なしに大量のデータ・パケットを送り出すために考案されましたので,メディア伝送用途に関しては伝統的なテクノロジーに較べると若干のハンディキャップがあります。しかしこのハンディキャップにも関わらず,メディア伝送に IP を用いることによる利点の高まりは,放送業者やサービス・プロバイダーが無視し得ないほどの説得力があります。

オープン・テクノロジー

過去において,プロオーディオ市場はこの業界の最も独創的な頭脳によって創意工夫された無数の技術的革新と遭遇してきました。残念ながら,そのような価値ある知的所有権の多くは,独占的あるいは特許取得済み技術として用いられるのに留まっています。新たな音声分配技術は,様々な会社によってサポートされなければ市場に充分には受容されないだろうことは明らかでした。そこで ALCNetworX 社は『RAVENNA』内で使われる基盤となるテクノロジーとメカニズムを公開しようと決断したのです。

市場と用途

『RAVENNA』は主にプロフェッショナルな放送市場をターゲットとしていますが,ライブ・サウンドや固定設備やレコーディング等のプロオーディオ市場の他セグメントにも適しています。考えられる用途分野には次のようなものがあります(これに限られるということではありません):放送局,劇場,コンサート・ホールやその他の固定設置における構内信号分配,会場やライブ・イベントでの柔軟なセットアップ,OB バンのサポート,WAN[Wide Area Network]接続全体にわたる施設内リンク,制作および録音用途等です。

RAVENNA overview

規格化:RAVENNA と AES67

『RAVENNA』はもともとオーディオおよび IT 業界の既存の規格に基づいたものですが,そのゴールは RAVENNA 自身で新たな規格を作ることにありました。2013 年 9 月,AES は高性能ストリーミング Audio-over-IP の相互運用性についての AES67 規格を発表しました。これは『RAVENNA』と同じ基本原理に基づくものです。そのため,『RAVENNA』は他のネットワーキング・システムとの AES67 ベースのストリーム交換を完全サポートすることになりましたが,制御・性能・柔軟性・適用性に関してはより優れた機能を提供します。

IP の利点

RAVENNA の特長

技術概説

RAVENNA node block diagram

標準的プロトコル:RAVENNA内で使われているプロトコルとメカニズムはどれもITおよびオーディオ業界で広く用いられ確立されている方法に基づいているか,もしくはIEEE,IETF,AES等の国際的標準化機構によって定義・管理されている規格に適合しています。

IP:RAVENNAはIPベースのソリューションです。そのため,RAVENNAはOSI[Open Systems Interconnection]参照モデルのレイヤー3上もしくはそれ以上のプロトコル・レベルに基づいています。IPは事実上どんなLANによっても伝送でき,WAN接続での通信の基底レイヤーとして使われます。ほとんどの場合で,基盤となるデータ・リンク・レイヤーとしてイーサネットが用いられるでしょうが,IPは一般的にインフラにとらわれない性格であり,ほとんどいかなるネットワーク・テクノロジーおよびトポロジー上で使用可能ですす。

ストリーミング:基盤としてIPが選ばれたように,メディア・コンテンツのストリーミングにRTP[Real-time Transport Protocol]を用いるのはごく当然のことです。RTPは無数の用途で広く使われサポートされており,いくつもの標準化されたペイロード・フォーマットが用意されています。このため,標準的なメディア・プレーヤーでさえもRAVENNAストリームを受けることが可能です。
ストリーミングはユニキャスト・モードとマルチキャスト・モードのどちらでもサポートされますので,様々な用途での独特な要件にも応える最高度の柔軟性が得られます。
レシーバーは,大半の一般的なメディア・プレーヤーによってもサポートされているRTSP[Real-time Streaming Protocol]/SDP[Session Description Protocol]プロトコルを介してどんな既存RAVENNAストリームをも受けることができます。

同期:ネットワーク全体にわたるシンプルなストリーミングは同期がまったくなくても達成可能ですが,プロオーディオ用途では全デバイスとストリームの間のタイトな同期は絶対条件です。ほとんどの用途での再生同期はサンプル精度を必要としますが,オプションで位相精度の同期を提供することで優れた性能をお届けすることはRAVENNAにとってのゴールでした。これによって施設や会場全体にわたって基準となるワードクロックを個別に分配することは不要になるでしょう。
RAVENNAでは,全ノードにわたる同期は,IP上で動作可能なもうひとつの標準的なプロトコルであるIEEE1588-2008(PTPv2 Precision Time Protocol)によって達成されます。PTPv2はローカルなクロックをAES-11が必要とする精度に同期させる手段を提供します。共通のタイム・ドメインとしてGPSが使われる場合,WAN接続にわたっても正確な同期が達成可能です。

QoS:他のサービスが同じネットワーク上でRAVENNAと共存できますので,RAVENNAのストリームが確実に優先処理される必要があります。
IPベースのトラフィックについては,時間をかけて規格としていくつかのQoSスキームが定義されています。RAVENNAはDiffServをQoSメカニズムとして選んでいます。というのもDiffServは現代的な管理ネットワーク機材の大半が幅広くサポートしているからです。

フル・ネットワーク・リダンダンシー:現代のネットワーク・インフラストラクチャーは高レベルの伝送安全性と年中無休動作の信頼性を保証するように構成できますが,RAVENNAデバイスは,独立した物理ネットワークに接続可能な2系統の独立したネットワーク・インターフェイスを装備することで,フル・ネットワーク・リダンダンシーをオプションでサポートできます。両方のネットワーク・リンクに送出されるストリームを複製すれば,いずれか片方のリンクでデータ・パケットが受信されている限り,レシーバーでの再生はエラー無しかつ途切れることなく継続されます。

RAVENNAとAES67:AES67の元となった関連規格はどれもRAVENNAの動作原理とまったく同じか極めて近似したものですので,RAVENNAは当然のことながらAES67で定義されたように相互運用性を完全サポートできます。RAVENNAとAES67は同期と伝送については同じ原理を共有しますが,AES67のパケット・セットアップとペイロード・フォーマットはRAVENNAの機能サブセットです。RAVENNAテクノロジーの枠組みはAES67相互運用性ガイドラインよりも上の性能と機能を提供しますので,AES67をRAVENNAの多数ある運用プロフィールのひとつとして見ることができます。RAVENNAはこの他に,より速い性能,より低いレイテンシー,より多いチャンネル数,ネットワーク環境へのより良い適用性,異なるタイプのメディアを伝送する手段を提供できます。

オープン・テクノロジー・パートナーシップ

他の大半の既存ネットワーク・ソリューションとは違って,RAVENNAは特許ライセンシング・ポリシーのないオープン・テクノロジーの規格です。このオープンなアプローチを強調するために,ALC NetworXはRAVENNAを用いた様々な製品をお届けすべく,プロオーディオ市場における著名企業によるチームを作っており,その参加数も増えています。

RAVENNAに関するパートナー企業の声明

Aki Mäkivirta(Genelec社Manager of R&D):「Genelec社は,諸規格との完全な互換性を有するIPオーディオ・ネットワーク化はプロオーディオ市場のニーズに応えるための正当で信頼性が高く頑強な方法だと確信しています。RAVENNAはプロオーディオ業界に受け容れてもらえる品質を備えたオープン・スタンダード・ベースのEnd-to-End IPソリューションに向けての進路を提供してくれます」。

Claude Cellier(Merging Technologies社CEO):「RAVENNAは確実に放送業界とレコーディング業界における支配的なIP規格となる適切な資質を持ち合わせています。私たちは当社のRAVENNA採用製品シリーズの新たなメンバーであるHAPIを発表しました。これは他のRAVENNAパートナーとのワークフローの可能性をさらに広げるものと期待しております」。

Nicolas Boulay(WorldCast Systems社CTO):「私たちは,RAVENNAは施設内の音声分配だけではなくWANに音声を伝送するための音声規格となるかなりの潜在能力を持っていると確信しています。RAVENNAの単一ネットワーク接続上でマルチチャンネル・オーディオを提供する能力は,リアルタイム能力と生来の時間同期機能と共に,マルチチャンネルAoIP codecのメーカーの興味を大いに惹くものです」。

Marty Sacks(Axia Audio社Vice President):「放送向けの最初のIPオーディオ・プロトコルとして2003年にLivewireを発表して以来,私たちはあらゆる放送機材がネットワークに接続される日を夢見てきました。AxiaとRAVENNAデベロッパー各社のほぼ1年の共同作業の後,ネットワーク化ビジョンを現実するべく放送業界は大きく一歩前進しまた」。

Philipp Lawo(Lawo社CEO):「近年,IPベースのソリューションは制御信号と音声信号の伝送にとって重要な選択肢となっています。RAVENNAは,ミキシング・コンソールおよびルーティング・システムに対するLawoのネットワーク化技術をIPベースのプラットフォームへと展開させる新たな展望を開きます」。

Philippe Delacroix(Digigram社Président):「RAVENNAプロトコルは特に大規模放送制作施設向けのオープンな既存規格に基づく同期Audio-over-IP分配のための優れた機能を多数提供してくれます。したがってそれはDigigramにとって理に適ったステップであり,RAVENNAエコシステムとの間のブリッジを提供するように自社のIPオーディオ開発を行うこととも完全に調和することです」。

Stephan Flock(DirectOut社CEO):「RAVENNAはインターネット・プロトコルに基づいており,タイミングの精度と拡張性に関する優れた機能を提供します。私たちはオープンなフォーマットだけが広く採用されるチャンスを持つと確信していますので,DirectOut社にとってRAVENNAをサポートすることは重要です」。

Jürgen Breitlow(Neumann社Director R&D):「オーディオ・ネットワークを当社のSolution-Dデジタル・マイクロフォン・テクノロジーと統合することは将来成功するための基本的要求事項です。RAVENNAにはオープンなIPベースのネットワーク技術があるのを知って私たちは満足しています。同じネットワークを介してリモート・コントロールを一体化することによって,よりシンプルなワークフロー用のソリューションも提供できます。参加企業が増えているRAVENNAはスタジオや放送環境そしてレコーディングの世界にも速やかに普及し受容されると信じています」。

ALC NetworX GmbHについて

ALC NetworXはR&D部門をミュンヘンに置く頭脳集団です。RAVENNAテクノロジー・プラットフォームを開発するためにプロオーディオ業界からの評価も高くネットワーク化技術についての詳しい知識を有する専門家チームが作られています。製品への実装は個々のパートナー企業によって行われますが,RAVENNA技術の開発における主導的役割はALC NetworX社が担い続けます。
ravenna.alcnetworx.com
ALC NetworX GmbH | Am Loferfeld 58 | 81249 Munich | Germany
Fon: +49-89-44236777-0 | ravenna@alcnetworx.de
2014年3月