2018-12-19(原文掲載:2018-12-11)

ドイツ「WDR Philharmonie」,LAWO『mc²96』および『sapphire』を用いてIPに移行

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抜本的な近代化の一環として,LAWOテクノロジーがケルンを本拠とするドイツの公共放送局「WDR(Westdeutscher Rundfunk)」の「Philharmonie Production Complex」に設置されました。

LAWO機材はアップグレードされた音声ネットワークに組み込まれています。内部的にはプロジェクト全体の責任はWDRの音楽/制作部門が負い,プロジェクトはWDRの企画/プロジェクト技術部門によって実行されました。このシステム・インテグレーションはケルンが本拠の「Mediatec Video- und Audio-Service GmbH」によって実施されました。オーディトリウム内のWDR自身のインフラストラクチャーならびに制御コンプレックス内の構造的な手段の更新は,2018年の夏休み期間中の6週間で完了させる必要がありました。コンサートの録音と伝送は,新コントロール・ルームが完成するまでOBトラックがホールの新インフラを使って引き継ぎました。このプロジェクト全体は3箇月後に計画通りに完了しています。

ケルンの大聖堂に近いこのPhilharmonieはWDRの全音楽アンサンブル(WDR交響楽団,WDRビッグバンド,WDR放送管弦楽団,WDRラジオ合唱団)の制作とコンサート録音に使われるだけではなく,様々なスタイルの演奏会や朗読等を含む多様な文化プログラムのための会場でもあります。

更新された音声機材の中心となるのが,コンサートのミキシングとレコーディングのための録音用コントロール・ルーム内に設置されたIPベースのLAWO『mc²96』グランド・プロダクション・コンソール,そしてモデレーションと放送関連の追加を行うための現場スピーカー・ルーム内に設置された新型の『sapphire compact』ラジオ・ブロードキャスト・ミキシング・コンソールとそこへの音声信号伝送です。この新たな設置が必要となったのは,今まで設置されていた他メーカー製コンソールが老朽化のために運用の信頼性を保証できなくなり,また増加するチャンネル数とそれに応じたより高いDSP性能とルーティング容量を伴う96 kHzでの意欲的な音楽録音への絶え間なく高まる要求に応えることができなくなったからでした。LAWOコンソールにするという決断は『mc²』ファミリーのフラッグシップが最終的に選ばれる評価プロセスよりも先に下されていました。この契約は2018年の初頭にWDRによって発せられました。

この新しい『mc²96』は制作と品質要件に応じて96 kHzまたは48 kHzのいずれかのサンプル・レートで運用できます。96 kHz(48 kHz)での192個(384個)のDSPチャンネルという処理容量,8,192×8,192個のクロスポイントを持つルーター・ボード,そしてユーザー・インターフェイス上に72個のフェーダーを備えるこのコンソールは将来のプロジェクトに対して無数の選択肢を提供します。

『mc²96』を設置するという決定の重要な点は,何よりもDAWのPCを表示する画面を統合して使用できること,そしてユーザー・ボタンから操作できるユーザー定義可能な機能の柔軟性でした。包括的なリダンダンシー(ルーター・カード,DSPカード,リダンダント電源)が最高度の運用信頼性を保証します。

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『sapphire compact』はPhilharmonie内のスピーカー・ルーム内に配置され,独立して,また『mc²96』と組み合わせて操作できます。Philharmonieからの生中継の場合,このコンソールはコンサート前後のモデレーションやインタビューに使用され,その目的のために,進行する番組の最中に──『mc²96』のルーターを介してコンソール・サーフェスからトリガーされて──伝送チェーンへとクリック・ノイズ無しにループ・バックされます。この切り替えの際のレベル・ジャンプを避けるために『sapphire』のテイクオーバー・コントロールは『mc²96』からのリモート・コントロールによって適切な位置に設定されます。5.1サラウンドとステレオでの伝送信号は『mc²96』からRAVENNA接続を介してWDRラジオ局のメイン・コントロール・ルームに送られ,例えば「WDR 3 Classic Wave」から生放送されます。

今回の近代化の一環として,ステージボックスとしての『DALLIS』I/Oシステムを介するマイクロフォン経路という新たな配線コンセプトのみならず,ホールの技術機材やFOHとモニター位置(コンサート運用)や伝送技術機材(テレビ放送とストリーミング)への新しい接続が実施されました。舞台下と天井内のマイクロフォン・プリアンプまでの短いケーブルや『mc²』のHDコアの接続や光ファイバーを介する信号分配のおかげで,信号の質をさらに高めることができました。最新の電子機材と施設の改修ならびにコントロール・ルーム内のアコースティクスの最適化もリスニング条件の最適化をもたらすことに繋がりました。

交響楽団以外にもPhilharmonieの制作コンプレックスはWDRビッグバンドも受け容れており,この団体はコンサートとレコーディングに当施設を使用します。ビッグバンドのレコーディングのポストプロダクションは『mc²66』を備えた専用のコントロール・ルーム内で行われますので,Philharmonie内のこの新しいLAWOミキシング・コンソールは音楽制作の効率に貢献します。というのも,両方のコントロール・ルーム内で作業するサウンド・エンジニアたちは馴染みのある作業盤面を使うことができるからです。このソリューションの過小評価されるべきでない付加的な利点として,制作の各分野ならびにサービス部門両方でのLAWO機材に関するかなりのノウハウをLAWO自身がすでに蓄えていることがあります。