2018-07-12

LAWOとd&b,イタリアの《Ravenna Festival》でイマーシブ・オーディオ制作を促進

イタリアの都市ラベンナでは6月と7月に毎年恒例の《Ravenna Festival》が行われていますが,今回,その音声制作と配信に大きな進展がありました。サウンド・システムの中核にあるのがd&b audiotechnik社の「Soundscape」イマーシブ・ライブ・オーディオ技術,そして同じドイツのLAWO製ミキシング・システムです。

クラシックやコンテンポラリーやジャズの制作作業に特化しているイタリアのレンタル会社「BH Audio」は,過去3年間,2月のISEイベントでのSoundscapeの公式リリースに先立つ厳格な試験運用にd&bとLAWOを組み合わせたプラットフォームを使ってきました。

《Ravenna Festival》システムのセットアップを担当したのはBH Audio社のMassimo Carli氏で,同氏はFOHミキシング用にIPオーディオ対応のLAWO『mc²36』コンソールを選択しました。というのも以前パルマのファルネーゼ劇場で開催された《Verdi Festival》においてこのコンソールの適応能力を体験していたからです。

「3週間のリハーサルの後,プロデューサーたちはマルチトラック録音を行うことを希望しました──これは簡単でした。RAVENNAを介してコンソールに接続した2つのレコーディング・システムを使うだけでした」と同氏。「その後,歌手たちと合唱団のためにインターカムと楽屋呼び出しを追加するように求められました──これは卓のチャンネルと内蔵マトリクスだけを使って行うことができました。それから,ある日,ゲネプロの直前に,音を劇場内のすべての部屋に送るよう求められました。『mc²36』のおかげで問題なしにこれらすべての要求に応えることができました──とても簡単で迅速でした。ウチの倉庫にある他のライブ用コンソールだったならば,はるかに複雑で,多分,追加の機材を必要としたでしょう」。

《Ravenna Festival》に話を戻してCarli氏は次のように言います:「RAVENNA/AES67を使ったせいで,これまでと較べてセットアップがとてもクリーンになりました。私は『mc²36』から44個のダイレクト・アウトと20個のポストフェーダーAUXをSoundscape DS100プロセッサーにその3個のRAVENNA/AES67ポートのうちの1つを介して送ることができます。私はDS100の出力をLAWOステージボックスのAES/EBU出力に直接送り,そこから様々なスピーカーへと送ります。私たちは歌手たちの正しい位置をダイナミックにDS100に伝えるためにネットワークを介するトラッキング・システムも使用しています。

「Soundscapeがどんな種類の仕事にも適するということはないでしょう」とCarli氏は回想します。「しかし時間が経って聴取習慣が変化すれば困難を乗り越えるのは簡単になると確信しています。個人的な見解ですが,これは究極的にはライブ・サウンドの姿を変えるでしょう。これを一度使ってしまうと元に戻るのはとても難しいです」。

Soundscape以外に『mc²36』を《Ravenna Festival》に導入したことによって音響セットアップは前年までのものと較べてシンプルになりました。というのも,必要なのはd&bのDS100以外にRAVENNA/AES67を介しCiscoのスイッチを用いて接続されたコンソールとLAWO『Compact I/O』ステージボックスだけでしたから。以前には,AES/EBU A/Dコンバーターとフォーマット・コンバーターとオーディオ・マトリクス,そしてAES/EBU出力をアンプに供給するマルチコアとアナログ・コンソールが必要でした。

「『mc²36』によって自分用のレイアウトを準備するのに無限の可能性が得られ,音を途切れさせたり「危ない」操作に入り込むことなく実に素早くかつ簡単にレイアウトを変更できます」とCarli氏は説きます。「私の仕事の大半では最後の瞬間まで──あるいはイベントの最中であっても,チャンネルを追加したりルーティングや何かを変更したりする必要があります。『mc²36』ならばそれが問題となることはありません。

「これらはレンタル会社にとって大きな利点です──沢山の異なる方法で使え,非常に柔軟かつ適応的なものを購入するということです。もちろん,私の将来の購入リストにはもう1台のLAWOコンソールがすでに入っていますが,それがいつになるかは正確には分かりません。ただし必要が生じたらすぐに実行するだろうことは確かです」。

写真:『mc²36』を操作する男性がMassimo Carli氏