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Smart Audio

ライブ放送制作の進む道:Smart Audio

欲しいときにいつどこでも様々なデバイス上でコンテンツを利用できることを期待するユーザーに追いついて行けるように,今日の放送施設は自身のリソースへの今までにない要求に直面しています。放送局はビデオやグラフィックス,データ,字幕といった様々な要素を扱わなくてはなりませんが,もちろん音声の重要度も過小評価してはいけません。

レベルや音色等の制御を自動化することで音声制作に関わる方々の負担を低減する最新鋭のSmart Audioワークフローは以下のアルゴリズムを使うことで構築されます:

Auto-LevelとAuto-Loudness

個々の信号源に自動レベリングを使い,出力ミキシング段に至る前に音声の条件を整えます。こうすることで異なる音声要素間のバランスを完璧に設定して一貫した音のするミックスを作り出せます。

信号源のゲインは適応的レベラー処理が制御しますが,音声要素の重要な特徴を保つためにターゲット・レベルを事前に定義します。これは入力回線や効果音チャンネルのようなライン・レベル,また声の録音(マイク入力)やボイスオーバーの背景音のようなずっと低いレベルであっても構いません。

信号源で事前にレベリングの施された信号がサミング・ポイントに集められます。ここでは最終ミックス内に音声ソースが並列に存在するかによってAuto-Mix機能が有益となることがあります。結果として最終ミックス出力は基本的に信号源のレベリング処理によって決まります。ラウドネスに基づく最終的なレベリングが出力段(ミキシング後)で行われます。

ラウドネス制御処理が適切な規格と勧告に基づいて音声エネルギー・バランスを整え,事前のレベリング処理が適切に行われていれば,ラウドネス制御ははるかに穏やで目立たないように動作できます。このようなワークフローも完全自動化が可能です──オートメーション・システムが音声要素と録音を開始し,送出用サーバーやスタジオ機材,調整卓,そしてレベリングとラウドネス制御用のSmart Audioデバイスを含む信号経路内の全ハードウェア・デバイスを制御するものです。

すでに多くの放送局がこのコンセプトを採用しており,例えばロンドンのInput MediaとドイツARDによるプライムタイムのニュースTV番組《Tagesschau》は2年以上もニュース番組のライブ制作を完璧な音質とターゲット-23 LUFSの±0.2 LU以内という平均プログラム・ラウドネスで配信してきています。


SMART AUDIO:完全自動化された番組,ドイツARDの《Tagesschau》(写真:調整室)

Adaptive Auto-EQ

アダプティブEQを使うことによって,スペクトル・バランスの一貫性が,そして最も大切な要素である語音明瞭度(speech intelligibility)が確保されます。Spectral Signature™は放送用途の様々な分野に自動トーン・コントロールを提供することを主な目的として設計されています。この独自特許アルゴリズムは「Signature」とも呼ばれる事前に定義された音の「指紋」を用いて,希望する音色を信号源のサウンドに自動的にマッチさせることができます。事実,Spectral Signature™はつねに信頼できる正確な全自動EQのように動作しますのでEQゲインを手動制御する作業から音声技師を開放できます。

従来のEQは処理する信号のゲイン特性を,必要とされているか否かには無関係に,連続的に変更します。それとは逆にSpectral Signature™はスマートな方法で信号ゲインを変化させます。本当に弱い周波数だけが強められ,オーバーロード状態の周波数だけが弱められます。

独自特許のワイドバンド・フィルタリング技法が,強力なリニアフェイズ応答を持つ絶対に歪のないトーン・コントロールを可能にします。このためSpectral Signature™は急激な周波数変化を許可しません。それゆえ極めて狭帯域幅の歪(冷却ファンの騒音等)や不要な音を完全に除去するのには不十分です。同様にAuto-EQは見てポンのライブ・サウンド・コントロールを提供し,適切なポストプロセシングが行えないような状況に最適です。

また,人の声と選んだマイクと音響環境との間のスペクトル・バランスを,一貫性のあるトーン・バランスという目標を達成させるためにリアルタイムで均質化できますので,これは録音技師がその場で調節しないで行った声の録音の質を向上させます。アダプティブなAuto-EQを用いることも重要な語音明瞭度を確保するためのまた別の技法です。


フェーダー制御の要らないボイスオーバー・ブース。単純化された操作はプレゼンターでも行うことができます

Auto-Upmix

番組内容が変わるとき(例えばCM)にサラウンド音声からステレオ音声に突然切り替わることはテレビ視聴者にとってとても煩わしいものとなる場合があります。また,デコーダー内でのスイッチングの副産物やラウドネスのジャンプやエンコーディング・フォーマットの切り替えの際のビデオ同期のシフトは制作中の音声フォーマット変更によって生じることがあります。

洗練されたアップミックス・アルゴリズムは入力ステレオ・ミックスを連続的に分析し,拡散音やアンビエント音の成分を抽出してそれらをリアのサラウンド・チャンネルに配置し,位置が限定されている直接音の成分をセンター・チャンネルにミックスします。

アップミックス・アルゴリズムはダウンミックス互換のサラウンド・サウンドをつねに提供しなくてはなりません。そしてサラウンド音像は人工的な残響やホール効果なしに適切な空間知覚をもたらして安定していなくてはなりません。

リニアフェイズの信号処理を用いることで,信号変換の副産物や位相関連の影響は気付かれない水準になります。アップミックス・アルゴリズムは,この水準の性能を達成できるのであればAuto-Upmixに使用できます──フォーマットの自動検出とプログラムされたクロスフェード動作を伴う完全自動運用です。


多数の一般的な制作レイアウト(ニュース番組,バラエティ番組,スポーツ中継,ラジオ番組,総集編)にマッチする複雑なSmart Audio制作ワークフロー

その他のSmart Audio処理

上述のようにサラウンドの自動アップミックスは音源のフォーマットとは無関係に一貫性のあるサラウンド体験を保つために使用できます。アダプティブなAuto-EQの使用はスペクトル・バランスの一貫性そしてなによりも重要な語音明瞭度を確保するもう一つの技法です。ケーブル1本を差し込むだけでAudio-over-IPネットワークと接続できることもSmart Audioに進むまた別の利点です。

結語

Auto-Level,Auto-Upmix,Auto-EQ,Auto-MIX,Auto-Loudness,Codec System Metadata Managementは今日のSmart Audioテクノロジーを構築するコア・アルゴリズムです。次世代音声コーデック・システムと共にAudio-over-IPプロトコルは将来の音声制作システムの一部となる付加的な要素です。Smart AudioはSmart Media Productionの一部であり重要な新戦略です。高品質の制作物を効率良く仕上げるために技術を創造的にミックスして使うことが,特にテレビとラジオのような生放送環境でのあらゆるメディア制作に,当たり前のように要求されるようになるでしょう。